第5話王都

 風邪も完全に良くなったリタと旅を続けて来たが、ついに辿り着いたようだ。


「あれが王都!」


 目視出来るまでに近付いて来たが、デカい!かなり広範囲に広がる城壁に囲まれた都市。

 高い城壁の先に見えるさらに高い建物、あれはお城であろうか?

 僕は興奮を隠しきれず少し早足になったが、リタも帰ってきたという喜びからか同じく早足になっていた。


 城門で門兵に呼び止められる、リタが何やら小さな声で話している。

 今の僕にはその小さな声すら聞き取ることが出来た。


「ようマルガレーテじゃないか、騎士団からはぐれたとは聞いていたが無事で何よりだところでその連れは何者だ?」


「かっ彼は私のフィアンセだ、無礼な真似はしないでくれよ」


「ヒュー♪やるなぁ迷子になってもタダでは起きないやつだな、それにしても偉く可愛いフィアンセだな」


 冷やかされてリタが恥ずかしそうにしている、聞いてるこっちまで恥ずかしくなってきた、こういう話は聞こえない方が良いのかもしれない。


 街の中に入ってその密度の高さに驚いた、人も建物も密集している元の世界のような高い建物こそないが、密度だけならちょっとした都会並みだ。


「ファースト、王都に来たばかりであちこち見て回りたいだろうが疲れているだろう?正直私も疲れている王都見物は明日以降にしてとりあえず私の家に帰って休もう」


 ステータス体力♾なので疲れてはいなかったが、リタのために同意しておいた。


「ファースト、ここが私の家だ。そしてここが私の部屋。キミは後で隣の部屋を掃除するのでそこを使ってもらう。フィアンセだとはいえまだ式も挙げてないのだし節度は守らんとな」


「うわぁクマのぬいぐるみだー、僕も元居たせか……家ではクマのぬいぐるみを可愛がってたんです家に置いてきちゃったけど」


「おおそうなのかこのクマさんはシュタイフという名でな、私が子供の頃から可愛がっているのだ」


「!?マルガレーテの可愛がってるクマのぬいぐるみの名前がシュタイフって出来すぎてるくすくす」


「なっやはり15歳にもなってクマのぬいぐるみを可愛がってるのは可笑しいか?」


「違いますよ僕の元いた街にクマのぬいぐるみが大好きなシュタイフって方がいたのです。偶然って面白いなぁと思って」


「ほうそうなのかその方とは仲良くなれそうだ」


 夕飯を食べながら、リタと色々と話をした。


「ファースト、キミは広い世界を見たいと言っていたなこの王都では何がしたい?」


「この街に学校はありますか?叶うなら僕は学校に通ってこの世界のことを色々学びたいです!」


「ほう良い心掛けだ、あるぞ飛び切り大きな学校がな。手続きなどは私がしておこう落ち着いたら通うといい」


 楽しい団欒を終えて僕たちはそれぞれの部屋で眠りについた。

 これから何が起こるのだろうワクワクがとまらないぞ。

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