第3話万が一
「だから私が見張ってるからファースト、キミは寝なさい!」
「それじゃあリタはいつ寝るんですか?せめて交代で寝て見張りしましょうよ」
リタと出会った僕不破明日斗は一緒に王都へ向かう事になったのだけれど、王都まではそんなに遠い訳では無いけど近いわけでもないらしく……途中で夜になってしまったのだけれど、リタが寝ずの番をすると言って聞かないのであった。
「万が一の事を考えると私は寝る訳にはイカンのだよ。騎士として君を守る義務がある」
「万が一と言いましたね例えば仮に次から次にモンスターが襲ってきたとしてリタの体力は無限でしょうか?もっと言えば万が一なのだから可能性は低いのでしょう?リタはその万が一の時の為に寝て体力を温存して貰って万が一の時に力を奮って貰うのが僕の為にもなるのではないでしょうか?」
「う、うーむ確かにそうだな言い返せん」
「万が一は高確率で起こりません、ゆっくり休んでください」
リタは眠ってしまった、疲れていたようだ。
リタを起こさないように少し離れた場所に移動する"万が一"の為に離れすぎない場所にね。
僕は色々試してみたいことがあるのだ、とりあえず今の自分の事を把握したい。
「す、ステータスオープン?」
ダメか本で読んだ通りにはいかないか、他の本ではどうだったか?
思わず癖で左の手の平を右手の人差し指で、下から上へスライドする仕草をとる。
と、左の手の平に"認証OK"の文字が浮かび上がった。
見慣れたLphoneの画面だ。
想定の範囲内ではあるが、触媒に使ったスマホの能力を自由に使えそうだ。
フリックしてプロフィール画面を探し当てた。
名前:不破明日斗
年齢:12歳
体力:♾
魔力:♾
寿命:♾
スキル:???
なんだ♾って何も解らないのと変わらない。
体力も♾だから寝ないでも大丈夫そうではある、感覚的にもそんな気がするし。
他に取り急ぎ気になるのは今の僕の戦闘力、取り込んだメフィストフェレスの力がどの程度の物なのか。
考えているとメフィストの魔力が何かの気配を察知した。
警戒しながら気配のする方へこっそりと近付いてみる。
これはオークかな?3匹のオークがこちらへ向かって来ていた。
万が一ってあるんだなぁ。
リタは起こしたくない、僕がどうにか出来ないだろうか?
体が勝手に動いた、指をパチンと弾くとオークの1匹が吹っ飛んで動かなくなった。
続けざまにパチン、パチンと指を2回弾く。
残りのオークも吹っ飛んで動かなくなった、死んではいない気絶しているだけだ……と思いたい。
「驚いたキミは強いのだな」
振り返るとリタが立っていた。
「驚いたのはこっちです、起こしちゃったか昼間は助けて貰いましたしねまだ王都へ着くまで日数があるのでしょう?僕がそんなに弱くないのも理解してくれたようですし今夜はゆっくり寝てください」
「そうさせてもらおう」
僕は朝までリタの寝顔を見ながら寝ずの番をしていたけれど万が二はなかった。
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