第18話 謎の届け物

「これは一体どうなっているんだ? どこから、誰が、何のために?」

「本当に、あなたが注文したんじゃないのよね?」

「もう、どんどん荷物が届いて収拾付かないよ~……」

「それに、これ全てが神なのかしら?」


 八百万家と弥美は困惑していた。

 ダッチワイフの神から、止むことなく立て続けに届く宅急便。

 気付けば十箱以上の段ボールがリビングを埋め尽くし、まるで引っ越しのような状況になっていた。


「とりあえず……あまりポンポン神様が出てきても困るし……あなたと神人くんは触らないように。私が開けてみるわ」

「お母様、お手伝いします」


 とりあえず、順番に中を開けていこうと提案する母。ただし、届いた荷物に父と神人は触らせないようにという判断。

 もしこの届いた荷物全員が神だった場合、流石にこの一般家庭の八百万家の家には入りきらなくなる。

 さらに、もし荷物の中身が、ダッチワイフのドールのような「そういう系」のものばかりだとしたら、流石に母としても、そして弥美にとってもあまり面白くない。

 ゆえに、まずは母と弥美が開けてからということで、二人は段ボールのガムテープを順に開けていく。

 すると……


「こ、これは……お風呂の椅子? 何だかすごく変わった形の……」

「「「ッッ!!??」」」


 段ボールから出てきたのは、プラスチック製の、形の変わったお風呂用の椅子。母は首を傾げるが、父と神人、そして色々と予習をしている弥美にはすぐに分かった。


(((スケベ椅子……)))


 さらに、入っていた荷物はそれだけではない。



「あら? これは……きゃっ!? スイッチ入れたら振動したわ!」


(((ローター……)))


「この筒は一体……」


(((オ●ホール……)))


「これは化粧品かしら?」


(((ローション……)))



 一つの段ボールに詰め込まれていたのは、ほとんどがアダルト用品とされるものばかりで、あまり口に出せる名称のものではなかった。

 これは流石に嫌がらせの域を超え、さらにもしこれらすべてが神だったら? 


「お、おお……これ全部……ゴクリ……」


 恐ろしい反面、父はものすごくいやらしそうに目じりが下がり、少しワクワクした表情をしていた。

 一方で……


「お……御子様の教育に悪いものばかりだな」

「ったく、どこのどいつよ、こんなにスケベ商品送ったのは!」

「坊や様にオ●ニー専門用品はいらないというのに。これは全部、旦那様が所有してください」

「うんうん♪ あるじさまには、クーラたちがぴゅっぴゅさせてあげるから、いらないもんね♡」

「……そもそも自慰など必要ないわ。彼女が居るのだから、自慰より実戦よ」


 ブラシィ、ルゥ、アンファ、クーラ、そして弥美は非常に不機嫌そうにむくれていた。

 そして、中の商品を見て、よりいっそう神人に触らせるわけにはいかないと、四人で神人にまとわりついて身動きを封じていた。



「えー? いーじゃん、Gるぐらい専用のウチらにさせろっつーの。お前ら、●ナニーは専門じゃねーっしょ?」


「「「オナ●ー専門でも可だ!」」」


「私は本番専用よ!」



 神人ガードに少しつまらなそうにして、足を広げて下着を丸出し状態にしながら座るドールにもピリピリした言葉をぶつける。

 しかし、十箱以上の段ボール全てにこういったものが入っているのでは? そう神人たちが心配しかけたとき、次の段ボールを母が開けると、中から意外なものが出てきた。


「えっ? あら? これ……オーブンじゃない!」

「「「……へっ?」」」

「わぁ……こっちは、電子レンジ……それに……ドライヤーとか……櫛に剃刀……洗面用具も……」


 なんと、アダルト用品だけではなく、他の段ボールからは一般的な電化製品や家庭用品が出てきたのである。


「この辺りは普通のものですね……とはいえ、なぜこれらのものが届いたのか、大変謎ではありますが。なぜこれほどゴッチャりと突然に?」


 これはある意味予想外であり、逆に戸惑ってしまった。



「でも、困ったわね~。ウチにある電化製品とかまだまだ全然使えるから新しいものに替える必要もないし……でも、もし神様だったら、勿体ないから人にあげるっていうわけにもいかないのよね~」


「なら、お母様。私と神人くんが将来一緒に暮らすための新婚用具として取っておいて頂くのはどうでしょうか? 流石に、これらの電化製品などで自慰はできないでしょうし……」


「あらあら! それはいいわね! でも電化製品で自慰は……どうかしらね~。ウチの人は掃除機でもやっちゃっているしね~。でも、神人くんはブラシィちゃんたちが居るから心配いらないかな?」


「「「「勿論、●ナニーするなら私たちだけで!!」」」」



 と、神人が状況について考えている中で、母と弥美は際どい会話を続け、ブラシィたちも乗っかり始めた。


 今はそれどころではないと神人も思わずツッコミを入れようとした。だが、その前に……


「うわ、ちょまち。ウケるし。ハブラシとかがオ●ニーする宣言してるじゃん。神様のくせにちゃんとした使い方させねーのダメっしょ~♪」


 ニヤニヤと笑った黒ギャルのドールがブラシィたちに挑発的なツッコミを入れ、同時にブラシィたちがまとわりついている神人に接近し、その手首を掴んで自分の腿に這わせた。


「ふわあ、あ」

「うわ! ふわあ、だってさ! ウケる! ダーリンかわたん♪ つーか、他の道具よりダッチワイフでオナ●ーが常識っしょ、ダ~リン♪」

「「「「ッッ!!!???」」」」

「ウチさ、ウチを覚醒させたダーリン相手にウリしないから。ただで~、うれぴーまんっしょ!」

「やっ、で、でも、あの……」

「あっ、他の奴らがおこなん気にしてる? なら、乱交にする? ウチどっちでもいいし」


 照れる神人に余計に気をよくしたドールが神人の手を更に引っ張り、自身のスカートの裾ギリギリのところまで誘う。

 その様子に、ブラシィたちも当然、弥美も目じりが動いた。


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