第26話

エミリーさんが言伝を伝えてきたと部屋に戻ってくると細かな支度をしてくれる。


髪を結い、身支度を整えると朝食を済ませた。


「今日はお部屋は王子が使ってらっしゃいますから…どうしましょうか?」


これからの予定を聞かれると…


「それなんですが…昨日の庭園にまた行ってきてもいいでしょうか?」


「あら、気に入ってくださったんですか?」


エミリーさんが笑顔を見せる。


「はい、一人で散歩しても大丈夫ですか?」


「お一人ですか…」


エミリーは眉をひそめた…


まだこの国に慣れていないロレッタ様を一人にするのは心配だった…しかし一人になりたいという気持ちもわかる。


この国にきて四六時中誰がが周りにいては気が休まらないかもしれない…


「お一人は…少し心配です」


しかしやはり一人にする事のリスクの方が高い気がしてついて行こうとすると…


「実は昨日王子との共通の知り合いが出来まして…少しお話をしたいと思ってます。フレッド様の事をもっと知りたいと思いまして…」


ロレッタは頬を染めた。


エミリーはロレッタ様の思いに感動する。


王子が事を知りたいと言うことは少なからず行為を持ってきているのだと…


そんなロレッタの思いにエミリーはそれならと頷いた。



ロレッタはエミリーさんから一人で庭園に行く許可を貰った。


しかしやはり心配なので庭園の入り口まで一緒にいき、そこで待っていると言う。


それなら自分も安心だとロレッタはエミリーさんにお礼をいって庭園へと向かった。


「ではお気をつけて…何かあればすぐに呼んでくださいね。私はずっとここにおりますから…」


エミリーさんの心強い言葉にロレッタは笑顔で頷き、行ってきますとあのガーデンテラスをめざした。


まだ約束の時間には早く、花を眺めからゆっくりと歩いていると…


「やっと来たのね…」


そこにはもう既にルフレシア様が不機嫌そうに待っていた。


ロレッタは待たせてしまった事に慌てて駆け寄ると肘を付く。


「申し訳ございません…お待たせ致しました」


頭を下げると上から盛大なため息が漏れる。


「約束の時間に遅れて私を待たせるなんて…いいご身分ですね…」


「す、すみません…」


ロレッタは身を固くした。


この空気は知ってる…よく向こうで感じていた空気だ…人をすぐに不快にしてしまう自分に嫌気がした。


「時間を勘違いしていたようです…どのように償えばいいか…」


ロレッタは顔をあげられずにいた。


「それなら…ちょっと付き合ってくださる?」


償うと聞いてルフレシア様の空気が変わった。


ロレッタが顔をあげるとそこにはにっこりと楽しそうに笑うルフレシア様の綺麗な顔が見えた。


その顔をみて妹の笑った時の顔に似ている…とふと思ってしまった。

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