第15話 リベンジとやっぱりドシャ

 翌日、早速リベンジにやって来た。

 フレイヤは、一応猫のふりなので、首輪とリードを付けている。


 昨日のダンジョンに近づくと、昨日の警察官が居た、

「おはようございます」

「ああ君か。あそこから落ちて、なんで死んでいないんだ?」

「さあ?」

 真顔で、何で死なないと問われても、答えようがないです。


「ここに落ちても十分死ねるのに、もう一段下だろう?」

「そうですね」


 何かを思い出す警察官。

「宇宙人と戦うとか、変なスーツ着ているとかないよね」

「そればらすと、頭がはじけたりしません?」

 と突っ込むと。

「そっかー、言えないよね。大変だね、頑張って」

 と言って、手をふり帰っていった……。なんだ、一体?


 まあそれは置いといて、うりゃーっと駆け上がる。

 とりあえず、フレイヤのリードは外す。

 しゃがみこんだついでに、またダンジョンにアクセスする……?


 あれ? 15階までしかない?

 昨日は確かに、30階近くまであったよな?


 モンスターの系統は犬系と蝙蝠……。

 これは変わっていない。

 なんだろうな?

 何かが居て、俺にばれてちょっかいを出したから、別のところに移動したのか?



 なんだなんだ。まさかまた管理者か?

〈フレイヤちょうど今って、体を変える時期だったのか?〉

〈時期は決まっていないと思うけど? 情報を聴いた感じだと、管理者と言うのも捨てきれないね〉

〈まあ、進んでみるか〉


 と、中に侵入した。


 正面から2いや3匹グレーウルフか……。

〈貰っていい?〉

〈倒せるならいいぞ〉

〈それじゃあ、いいというまで進まないでね〉


 といった瞬間。モンスターのエネルギー反応が消えた。

〈何をしたんだ?〉

〈神言。命令だけど、あてはまるのは毒かな〉


〈そんなものがあるんだ〉

〈この中だと力が使えるから、便利。じゃあどんどん行くよ〉

〈おう、まかせた〉


〈やっぱりたまには、命をもらわないと力が増えないからね。えい、我はセクメト我が名により命ずる我に力をささげよ〉

 ぼふっと、フレイヤがちょっと大きくなった。

 

 階層を超えて、モンスターが消えたんだけど……。

 今のは、何だ?

〈さっさと魔石集めないと再吸収されちゃうよ。 まだボスは倒れてないから〉

〈やっぱり奥があるのか〉

〈うん、術で空間を切っているね。管理者だね〉

〈……やっぱり〉


 適当にその辺の魔石だけを回収して、15階まで走る。到着して通路に先がないためダンジョンにアクセスし情報を探す。 無いな……。


〈先がないぞ〉

〈ちょっと待ってね。アッ避けて〉

 目の端に空間の揺らぎが見えた。かわすと揺らぎが無くなる……。

 またきた、体をねじりかわす。


〈本気で来たね。あの揺らぎは空間の裂け目だから、触れると切れるよ〉

〈切れるのか?〉

〈うん、物質は何でも切れる〉

〈やばいな、と言っているそばから〉

〈まだ力が弱いから、一度に複数は作れないみたいだね〉


 じり貧だ、先を探さなきゃ。昨日見たデータをもとに位置を決め、転移のイメージを使い。

空間魔法らしきものをクリエイトする……。 

 実行キーは「ゲート」。

 実行すると、穴が開く。向こう側もダンジョンのようだ。

〈どこかわからんが、飛び込め〉

 フレイヤが飛び込むと同時に、神言を唱える。


 ……止まった?


 ダンジョンにアクセスする。

 う~ん? 残り15階だな。

 ああそうか。さっき15階だからちょうどいいのか。


 すると、目の前にクリスタルが浮かぶ。

〈フレイヤ倒したのはお前だろう? 取り込めよ〉

〈うーん、基本的に一人一つなんだよね。取り込むのはちょっと……〉

 まあ、そんなこと言わず。と、フレイヤをクリスタルに向け押すが、クリスタルが反応しない。


〈なんていうことするのよ。一人一つって言ったでしょ〉

 フレイヤが怒った。怒ると口調が変わってメスらしくなる。


〈まあ何も起こらなかったし、良いとしよう。とりあえず持って帰るか〉

 手を伸ばしつかもうとしたら、お約束のように胸に吸い込まれた……。

 なんだよ?

〈おい、2つめっ……〉

「ぐわぁぁ……」

 体が、細胞レベルでばらける。


〈やっぱり、2つはだめなのよ……。 大丈夫?〉


〈ぐぅ…… だめかもしれない…… 俺が死んだら、〇〇店のチャーハンとラーメンのセットを供えてくれ……。 うっぐわーっっ…… 餃子も欲しい……〉

 やばい、本気で体がバラバラになっていく……。


〈フレイヤ俺の体どうなっている? 壊れていないか……〉

〈うーん、普通だねえ。 汗かいて目が血走って気持ち悪いくらいかな?〉

 ち…… ちくしょう…… 他人事だと思って……。


〈暇だから、魔石拾ってくるよ。それじゃあね……。 あっ頑張ってね〉

 ちょっとだけ振り返り、そう言うと走り去っていく。

〈おいぃ、おいおいおいぃ……。 思わずチームナ〇クスのリーダになるところだった……〉


 時はしばらく経ち……。

 だいぶ落ち着いてきた。

 頭の中に浮かぶ。次元管理(ディメンジョンマスター)の文字……。

 えーと元の創造者(クリエイター)ああ、あるな。


 ばらけた体が、つなぎ合わさる様に、末端から感覚が戻って来た。


 ダンジョンにアクセスして、人を放って行ったフレイヤを探す……。 おお? あいつ人をほっといて魔石食ってやがったな、かなり存在がでかくなっている。


次元管理を使い空間をつないでみる、目の前に黒い穴が開いた……。 これに入るのか? 普通に転移したほうがよかったか? ええい行け。


 目の前には、尻尾を振りながら魔石をかじっているフレイヤが居た。

〈楽しそうだな?〉

〈ふぎゃ、復活したの?〉

〈ああおかげで、元気になったよ。どれ、お礼をしよう〉


 切断した空間を手の外側に浮かべる。

〈お礼だけど、どっちがいい?〉

〈大丈夫です。お礼なんて必要ないです。魔石食べます?〉

〈食うかそんなもん〉

〈食べれば、結構面白いことになりそうだけどなぁ〉


 無言で、右手側の空間を投げる……。

〈ふぎゃ〉


 ちっ、かわしたか。すかさず左も投げる。

 ひらっとかわし、ねこなのに両手を上げるフレイヤ。

〈冗談じゃなく。そんなのが当たると消滅するから…… やめて…… いややめてください〉


 フレイヤが半泣きになったから、作りかけた空間を消す。


 少し、空間を探りコントロール用のクリスタルを探す……。 あっちか。壁の前に立ち、手を広げると壁が破れていく。

 これ便利だな。

 いつものように、クリスタルを回収し。魔石も集めた。


「よし帰るか」

 フレイヤをかかえて、ダンジョンの外に転移する。そして俺は、5m下に落下した……。

  

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