第8話 狸な宮司のおかげで大儲け
数日後、美月がこれってあそこの神社だよねっと、スクリーンショットを送って来た。
美月はしっかりあの日の晩に泊っていき、朝帰っていった。まあ突き飛ばされたり殴られたりが無くなっただけいいだろう。 それどころか、怖くないとかあまり痛くないのが分かり、行為に対し一部サルになっている。 これ以上は踏み込まないようにしよう。
それはさておき話を戻すと、あの神社はHPを持っていた。それも広告付のブログを……。 今日の出来事として、境内にダンジョン発見。 穴の直径50cmモンスターは全長1mのアリが300匹、退治の方法は簡単。殺虫剤を入れて蓋をするだけと書いてあった。
あいつ馬鹿だろう。 それを読んだのか、しばらくするとブログへの苦情や役所からの注意喚起が起こった。 おんなじ直径50cmの穴でもモンスターはアリとは限らない。それに完全に全滅したか、どうやって判断をするのか? さらに魔石が取れないから赤字と言うことですぐ下火になった。 だが簡単にレベルアップができるとやっている奴はいるようだ。
ブログへの怒りの書き込みで、場所が特定できるところに訪れ。 魔石と結晶の回収を行い、お礼にダンジョンの穴つぶしはしてあげた。
3日で5か所ほど回り、経費は電車代のみ。1か所で10万円コースなのでウハウハだ。目立つから一気には交換できないけどね。
そういえば、似たようなサイズの穴だが、とても危ないダンジョンが発見された。穴の中がダンジョンではなく、穴が開いているエリアがダンジョンのタイプ。
そのエリアには網目状にクモの巣が張られ、足を踏み入れると穴で待ち構えているクモが飛び出してくる。こいつは毒を持っていて、かまれると体がしびれるらしい。同じように公報で注意喚起されていた。
このタイプは、一帯に水を撒いて、車用のバッテリーを少し昇圧してつないだら倒せた。
糸が絶対つながっているから、濡れると感電するんだろうね。
モンスターって面白いよね。死ぬと煙になるのに、溺れたり感電したり。不思議。
と俺が、小金儲けに奔走していたころ、月では……。
やっと魔素濃度が5%か、これでもう少し大きなモンスターを、送り込むことができる。我々の10歳程度の能力でも、ゴブリン程度ではさすがに相手にならなかったようだ。
次の段階に進もう、原住民よ恐怖せよ。
と、言っても…… この濃度ではダンジョン外では魔法はまだ使えんな。15%でも生活魔法程度だしな、まあ強力なモンスターが送り込めれば飛躍的に魔素濃度は増える。かといって、低い魔素のところに送り込めば送り込んだ瞬間、霧散してしまうから、次はオーク位までか。……しょうがない。 こういう仕事はコツコツ積み上げるのが重要だな。
寝ていると、ズンという振動が世界中に起こった。前回のダンジョン発生時の地震ではなく一瞬の振動だ。震度では3くらいだから大丈夫だろう。
気になったので起き上がり、ニュースを検索する。まだ情報が上がっていないようで、地球規模で振動が起こったということを繰り返し伝えている。
「コーヒーでも、入れようか?」
最近すっかり居ついている美月が、服も着ずにうろついている。
しかもこいつ、ダンジョンでのゴブリン殴りが気に入ったようだ。一人では怖いらしいがストレス解消にいいと言って、一緒に行くと嬉々として殴り殺している。
付き合い始めてすぐに、腹にグーパン入れるような奴だしな……。
少し経つと、モンスターが変わったという情報が流れ始める。今までゴブリンだけだったのに、ウルフ系やイノシシ系果てはオークまで目撃されたらしい。ネタは海外だから詳細は分からないが、ダンジョンも深くなったと噂が出ている……。 さすがにまだ情報が早すぎだから内容については不確定だろう。
そしてまた、モンスター出現、警官・自衛隊役に立たず壊滅 か?が出てきている……何か出さないといけない決まりがあるのか?
次の日の午前中に、特別指定外来種に種類追加のニュースが出ていた。 もちろん鳥獣保護法の対象外となっている。
それと、新種が出て魔石も1.5cm以下を小サイズとするお触れが出ていた。 価格は800円となっていたラッキー、これは、ゴブリンにとっては受難だな。
ゴブリンさん逃げて……。 小遣い稼ぎにみんなが襲ってくるよ……。
そういえば、創造者(クリエイター)は何だろうな? 意識を集中してもグレーアウトしている感じが分かる。何か条件が足りないんだろうな……。 まあその分ダンジョンマスターが便利だからいいけど。
スキルに関しては、まだ情報が出てこないんだよね。 俺以外にも居そうだけどな、ぽつぽつ、ダンジョンを攻略したという情報も上がっているし。
翌朝、休日なので美月も一緒だ。美月も駆除ライセンスを取ったので金属バットを背負っている。まあバットだけならライセンスいらないんだけどね。
だけどユニフォームも着ずに、バット背負っていると、警察官が喜んでやってくるんだよ。
「そこ行くお兄さん時間いいかな? ちょっとお話ししない? 職質だけど…… って、婦警さんなら少しくらいは良いけど」
それは置いといて、
近くのよく行くダンジョンに近づくと、変な兄ちゃんたちが入り口でたむろっている。なんだ?
「おう、今日からこのダンジョンは、チームゴブリンハンターが仕切ることになった。 中に入るなら金出しな?」
「あん、ここお前の土地なのか?」
「土地じゃない、ダンジョンだ」
「今立っているところは違うだろう、地権者は誰だ?」
「地権者ってなんだ? そんなもん知らねえよ」
「そうか」
そうか魔石の買い取り値段が上がると、こういうのが湧いてくるよな……。
その足で役所へ行く。窓口のお姉さんに、いつもより少し高い声で、
「すみません」
地図アプリを見せながら。
「此処のダンジョンなんですが、勝手に占有して、入場料金を取っているみたいですが、行政として許可だしたんですか? それなら事前の通達とかほしかったのですが?」
ここは役所の特別指定外来種駆除担当窓口。
「占有して、入場料金ですか?」
「ええ、そうなんです。 近づいたら、怖そうなお兄ちゃんたちに囲まれて、金出せや。って脅迫されて。とっても怖かったです。 あれがこちらのお役所の指示で行われているのなら、ちょっと法律に詳しい事務所へ相談しに行かないといけないと思いまして」
話を聞いて、あたふたするお姉さん。
「いや、ちょっと待ってください。こちらの指示でそんなことは行っていません。わかりました。早急に地権者さんに連絡して、情報が取れたら対応します」
「あっそうだ、もし地権者さんが占有を許可していて、その上での料金徴収なら。モンスターが溢れて被害出たときの賠償を、書面で通達したほうがいいですよ」
慌てる担当者さんに、にこやかに手を振る。
その日の晩、ダンジョンを占有していた奴らが、土地の不法占拠と脅迫で事情聴取に引っ張られた後。忍び込む二つの影……。
不法占拠じゃ動かなくても、金銭目的の恐喝が役所のせいにされていると、役所を通して相談されれば警察は動かないといけないからね……。
それから5~6時間後、10階程度の階層を持ったこのダンジョンは、静かに消滅した。
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