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Z「書き出しました。見切り発車感満載ですが」
A「なにか言いたいことがありそうですな」
Z「なんかうまくいかんなぁ、と。なにもこれは今回に限ったことではないんですが」
A「確かに。オープニングにひきつけられないというか。いい作品って、最初の数行だけでもう『はい、これはたぶん一次通過は間違いなしね』って予備選のスタッフが興奮しているはず」
Z「そんな気がします。書き出し、うまくやりたいんですよ」
A「ひとごとみたいに言いますけど、特に長編だと、だらっと始まりますよね」
Z「短編でもですよ。最近、特にどこかに出すわけでもなく書いてみたミステリで、アイデアだけでプロット練らずになんとなく書き出してみたら、一時間書いても探偵役も語り手も事件に巻き込まれずに、探偵と語り手の関係性と二人がなぜ事件の起きる現場の近くにいるのかの説明だけになりました」
A「文字数や枚数でどれくらいですか」
Z「うんざりしたので数えていませんが、四〇〇字詰原稿用紙換算で4枚くらいでしょう。平均ペースがそれくらいなので」
A「逆に訊きます。いい書き出しって具体的にどういうものですかね」
Z「事件が起きなくても早々と謎が提示される」
A「謎というのはメインの謎、犯人当てで言うならば“誰が犯人か”ですか?」
Z「いえ、ちっちゃい謎です。それを解くと扉が開いて物語が進み、また小さな謎が提出され、それを解くとまた展開して、をいくつもやってのメインの謎でしょう」
A「長編の場合はそうしないともたない?」
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