#17




before




「…………ん?…………んー…………そうだね…………思い返してみるとキミと初めて会った時って、あんまり良い思い出じゃなかったな、と思ってね。初めは本当に大嫌いだったけど、なんだかんだ一緒に居るようになって、2人で色んなことして、母と喧嘩する事もあったりして、それから結婚して、その後も2人で過ごして来たけど……それももう終わりなんだなって思ってね……これからはこの子も含めて3人になるんだなって……そっかぁ……ボクお母さんになるんだよね……ボク、ちゃんとお母さん出来るかなぁ……まぁ!ボクがダメでもボクにはパパが居るからね!頼むよパパくん!大概の事はなんでもかんでもパパくんがどうにかしてくれるからボクは正直いって何にも心配していなかったりするんだよ!いやしかしボクが妊娠してからというものパパくんが優しくて優しくて逆に不気味だよね!一体全体パパくんはホントどうしてしまったんだい?前まではボクのことを泣かせては悦に浸る鬼畜野郎だったのに……でもボクは嬉しいよ!キミがパパとしての自覚を持ち、ボクという存在の有難みに気が付き、こうしてボクに尽くしてくれている……いやぁ!実に気分爽快だね!ふふっ!これからもこの調子でよろしく頼むよパパくん!…………ふぇ?出産後も楽しみにしてろって?何かな何かな!もうホントキミはボクの事を大好きだなぁ……えへへっ……!」




after




「……いや……ははっ……あのぉ……2人目はちょっと早くない……?それにほらボクの体調もまだ万全とは……ふぇ!?あっ、あっ、あっ……そんなこと言ったかなぁ……んひぃ……!はぃ……言いましたっ……!なんの問題もありません!でも、そのぉ、なんと言いますか……久しぶりじゃないかい?だから、手加減してほしいかなぁーって……た、確かにキミにはこれまで我慢を強いてきたし……妊娠中は凄く助けられ――……はい、こき使ってました……正直、調子に乗ってました……いや普段と違ってキミがなんでもかんでも言うこと聞いてくれるからそれが楽し……嬉しかったというかなんというか……でもだよ!それって当然の事だったと思うんだよ!妊婦を労うのは当然の事だろ!?そ、それは……!はい……関係無いです……はい……ご最もです……ごめんなさい……た、確かにそうなんだけど……キミの言うことはわかる……わかるけど……!だって!キミ優しくする気まったくないだろ!?嘘だよ!これ絶対またボクが泣かされる奴だろ!?流石にボクもわかるよ!キミとどれだけ一緒に居ると思ってるんだい?ひぃやぁああぁあああ!許してぇええーーー!!!」




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