第3話
俺は布団にくるまりながら、エリカのことを少し睨んでいると、エリカは俺の隣で横になった。
当然、俺とエリカの顔のキョリは近くなる。エリカの使っているリンスなのか、良いにおいがするし、なによりエリカの吐息がくすぐったい。
「ねぇ、シュウ」
「なんだ?」
「私、シュウのこと、大好き。愛してる」
「……」
色っぽい声と少し赤くした顔がめちゃくちゃ可愛い。思わず顔をそらしてしまう。
「シュウ、私のほうを見て」
エリカの手が俺の頭にのびてきて、俺とエリカの目が合う。
さっき逆レイプされかけた身なのに、心臓がバクバクとうるさい。こんな状況にドキドキしない男子がいないとは思うが、エリカに俺をコントロールされているような感じが妙に悔しい。
「シュウ、私と———」
エリカが大切なことを言おうとしたとき、ジャストのタイミングでスマホのアラームが鳴った。
俺が起きるのは、学校に遅刻しないぎりぎりの時間だ。そのため、ゆっくりとする時間がない。
くるまっている布団から脱出して、俺はアラームを止めた。
布団を上げ、カーテンを開けると、部屋が朝日に照らされた。夏を想像させるようなまぶしい光だ。
その光に目を細めながら、乱れた制服をただしているエリカにそれとなく、さっき言いかけた言葉の続きを聞いてみる。
「さっきはな————」
「また今度ね」
先回りしてエリカは答えた。その顔は笑っている。
もしかして、エリカは……。いや、多分、実際にそうなんだろう。
「ほら、朝ごはん食べていくんだろ」
「うん」
考えると少し落ち込んでしまいそうなことは考えないで、とりあえず朝ごはんを食べて、きれいさっぱり忘れることにした。
*
「いってきまーす」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
お母さんが台所から「いってらっしゃい」というのを聞くと、玄関のドアを閉めた。
「いってらっしゃい」というのを聞かないと、なぜだか不安にかれれてしまう。
「シュウの心配性なのは、いつまでも変わらないんだね」
エリカは俺の考えていたことを見透かしたのか、優しく微笑んでいる。朝の恐怖を覚える表情とは大違いだ。
ある意味恐怖を覚える。
「なんだよ、その微笑んでいる表情は」
「シュウがかわいいから」
「かわいくないだろ」
高校二年生の俺に、かわいいはおかしい。かっこいいと言ってほしいものだ。別にオシャレなわけでもないし、かっこいいセリフを言うタイプでもないけど……。
「かわいいよ。ついつい食べたくなっちゃう」
「さらりと怖いこと言うなよ」
俺は少しエリカからキョリをとっておく。キョリと言っても、十センチくらい離れただけだが。
追記。7月6日。
いつもお世話になっております。ポン酢です。
貴重なお時間の中、グーグルフォームにご回答していただき、ありがとうございます。新しい発見をすることができ、とても勉強になっています。
また、応援メッセージをいただくことができ、とても嬉しく感じています。
現在第二話を確認したところ、URLがハイパーリンクになっていなく、大変なご不便をおかけしたことを、申し訳なく思っております。
今運営の情報を確認したところ、ハイパーリンクとなるのはhttps://kakuyomu.jpから始まるURLのみのようです。スパムなどの対策だと思われます。もっともな理由です。
なので、フィードバックをより気軽にいただきたく、近況ノートにそのフォームのURLを載せさせていただくことにしました。
https://kakuyomu.jp/users/sizen/news/16817139556424641269
上記のURLが近況ノートへのものとなります。
貴重なお時間の中、大変恐縮ですが、フィードバックのほど、何卒よろしくお願いいたします。
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