第3話

 俺は布団にくるまりながら、エリカのことを少し睨んでいると、エリカは俺の隣で横になった。

 当然、俺とエリカの顔のキョリは近くなる。エリカの使っているリンスなのか、良いにおいがするし、なによりエリカの吐息がくすぐったい。


「ねぇ、シュウ」

「なんだ?」

「私、シュウのこと、大好き。愛してる」

「……」


 色っぽい声と少し赤くした顔がめちゃくちゃ可愛い。思わず顔をそらしてしまう。


「シュウ、私のほうを見て」


 エリカの手が俺の頭にのびてきて、俺とエリカの目が合う。

 さっき逆レイプされかけた身なのに、心臓がバクバクとうるさい。こんな状況にドキドキしない男子がいないとは思うが、エリカに俺をコントロールされているような感じが妙に悔しい。


「シュウ、私と———」


 エリカが大切なことを言おうとしたとき、ジャストのタイミングでスマホのアラームが鳴った。

 俺が起きるのは、学校に遅刻しないぎりぎりの時間だ。そのため、ゆっくりとする時間がない。

 くるまっている布団から脱出して、俺はアラームを止めた。

 布団を上げ、カーテンを開けると、部屋が朝日に照らされた。夏を想像させるようなまぶしい光だ。

 その光に目を細めながら、乱れた制服をただしているエリカにそれとなく、さっき言いかけた言葉の続きを聞いてみる。


「さっきはな————」

「また今度ね」


 先回りしてエリカは答えた。その顔は笑っている。

 もしかして、エリカは……。いや、多分、実際にそうなんだろう。


「ほら、朝ごはん食べていくんだろ」

「うん」


 考えると少し落ち込んでしまいそうなことは考えないで、とりあえず朝ごはんを食べて、きれいさっぱり忘れることにした。



「いってきまーす」

「いってきます」

「いってらっしゃい」


 お母さんが台所から「いってらっしゃい」というのを聞くと、玄関のドアを閉めた。

 「いってらっしゃい」というのを聞かないと、なぜだか不安にかれれてしまう。


「シュウの心配性なのは、いつまでも変わらないんだね」


 エリカは俺の考えていたことを見透かしたのか、優しく微笑んでいる。朝の恐怖を覚える表情とは大違いだ。

 ある意味恐怖を覚える。


「なんだよ、その微笑んでいる表情は」

「シュウがかわいいから」

「かわいくないだろ」


 高校二年生の俺に、かわいいはおかしい。かっこいいと言ってほしいものだ。別にオシャレなわけでもないし、かっこいいセリフを言うタイプでもないけど……。


「かわいいよ。ついつい食べたくなっちゃう」

「さらりと怖いこと言うなよ」


 俺は少しエリカからキョリをとっておく。キョリと言っても、十センチくらい離れただけだが。



追記。7月6日。

いつもお世話になっております。ポン酢です。

貴重なお時間の中、グーグルフォームにご回答していただき、ありがとうございます。新しい発見をすることができ、とても勉強になっています。

また、応援メッセージをいただくことができ、とても嬉しく感じています。

現在第二話を確認したところ、URLがハイパーリンクになっていなく、大変なご不便をおかけしたことを、申し訳なく思っております。

今運営の情報を確認したところ、ハイパーリンクとなるのはhttps://kakuyomu.jpから始まるURLのみのようです。スパムなどの対策だと思われます。もっともな理由です。

なので、フィードバックをより気軽にいただきたく、近況ノートにそのフォームのURLを載せさせていただくことにしました。


https://kakuyomu.jp/users/sizen/news/16817139556424641269


上記のURLが近況ノートへのものとなります。


貴重なお時間の中、大変恐縮ですが、フィードバックのほど、何卒よろしくお願いいたします。

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