その12

「……5隻、抜けてきましたね」

 数を数えながらエンリックはルドリフにそう言った。


「そうだな」

 ルドリフは短くエンリックにそう答えた。


 ホルディム艦隊の動きにすぐに気が付く所を見ると、やはり、ルドリフは良将と言えた。


 そして、その動きに対して何もしないという選択肢はなかった。


 あまりにも敵が混乱しすぎていて、何処を攻撃していいか分からなくなっていた時に、はっきりとした目標が出来た格好になったからだ。


「先行してくる5隻に、第2射、撃て!!」

 ルドリフは躊躇無しに命令を下した。


 どどどぅかーん!!!


 命令と共に、ルドリフ艦隊全艦は一斉にホルディム艦隊の5隻を砲撃した。


 砲弾は次々着弾した。


 ばしゃばしゃばっしゃーん!!!


 海面が大きく揺れ、5隻の船体が大きく揺れて、速度が一気に落ちた。


 5隻が何とか体勢を取り戻し、再び突撃を開始した。


 どどどぅかーん!!!


 第3射だった。


 ドーン、バキバキバキ……。


 今度は海面だけではなく、艦の上に砲弾が落ちた。


 砲弾を数発浴びた1隻が轟沈、2隻に直撃弾を喰らっていた。


 生き残った4隻は体勢を立てなそうとしていたが、これで完全に足が止まってしまった。


「よし、全艦前進、距離を詰めろ」

 ルドリフは満を持しての命令を下した。


 残った4隻は、接近してくるルドリフ艦隊によって為す術もなく、次々と撃沈されていった。

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