お迎え来たぞ
『ピーポーピーポー・・』
(はぁ・・また救急車だ・・・あれが来る・・)
夫がニヤニヤしながら口を開く。
「おいお前、お迎え来たぞ。」
無視である。
もう耳にタコができている。
つまらないギャグは受け付けない仕様になった。
無視だ。ああ無視だ。
私は東京生まれ東京育ち。
夫は大阪・・ではなく東京生まれ東京育ち。
つまり『文化の違いだから〜』とかそういう類いのものではない。
夫はシンプルにウザいのだ。
近所に消防署があるので、
もう毎日毎日、お迎えお迎えお迎え・・
うるせえええええ!!
・・と、数ヶ月前まではそうだったのだが、
最近はサイレンが聞こえても言わなくなった。
夫婦関係が冷え切っているのは変わらないわけだが、
何か思うところがあったのかもしれないな。
まあママ友との電話でわざと聞こえるように夫の悪口を言いまくってるから、遂に反省したのかな?
いえーい!
ていうかなんかどっかに電話してんな。
早く夕飯作れよダメ夫・・ったく。
『ピーポーピーポー・・』
夫が見た事のない顔で口を開く
「おいお前、お迎え来たぞ。」
薄れゆく意識の中で、夫と救急隊員の会話が聞こえる。
「旦那さん、経緯を説明してもらえますか」
「その・・私が料理をしていたら、突然彼女が驚かせてきて、反射的に振り返ったら、こう・・お腹にグサっと・・・」
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