ワイバーン様は最強にあらず、
はにゃ姫
第1話 テレレレ↑ レレレレ↑ レレレレ↑ レレレレ→ レー↓
俺の名前は三島悠太、どこにでもいる一般的な中学生だ。
趣味はゲーム、成績は平均的、運動もそこそこだ。
さて、今日は五月一日、月曜日である。
学生である俺にとって、月曜日とは二度寝して悪夢だった時ぐらい辛い。
そしてたった今起きたばかりの俺が座っているのは我がゲーミングチェアである。
昨日がゲームのイベント最終日だったため、深夜までやり、そのまま寝落ちして今に至っているのだ。
昨日あれだけ叫んだから流石に喉が痛いな。
それに机の上で寝たから正直腰が痛い。
家庭の事情で親は基本的に家におらず、俺は実質一人暮らしをしている。
つまりはこんな状況でも毎朝自分の朝飯を作らねばならないのである。
大変だが腹はへる。
俺は椅子を引き、重い腰を持ち上げる。
最近、連日イベント続きのせいでご飯がしっかりと取れていない。
確か10食分ほど買だめしていたカップラーメンはもう尽きた筈だ。
俺はキッチンまで歩き、冷蔵庫の扉を開ける。
入っていたのは腐りかけの開封済みレトルトカレーとエナドリだけだった。
翼が生えるやつばっかりである。
死ぬな、このままでは。
俺はすぐに財布を持ち、玄関までいく。
こんな時はコンビニだ。
靴を履きながら俺は考える。
マンションに住んでいるため、まずは下まで降りなければいけない。
このマンションにはエレベーターと階段がある。
ここは四階だ。
これらのことと今の空腹状況から鑑みるに、どちらを使うのが賢いのだろうか。
エレベーターの利点を考えてみよう。
エレベーターのいいところは自分の運動量を減らせるところだ。
お腹が空いている今であれば、動かなくていいというのは大きなメリットとなる。
対してデメリットだが、遅いということ、そして運要素があるということが言える。
どういうことかというと、エレベーターは自分の階に来るまでの時間、扉が開く時間、扉が閉まる時間、あとは他の人が乗ってくる可能性等々でロスが多い。
では階段はどうだろう。
メリットとしては、早い、ということが挙げられる。
自分次第でどんどん下に着くまでのタイムを削れるのは大きい。
さらに運要素も少ない。
現代人は動かなくていいエレベーターを使いがちだ、なので人とすれ違う可能性が低いのである。
デメリットは、自分で動かないといけないこと、がなによりも大きいだろう。
お腹が空いている今のこの状況だとそれは大きなディスアドバンテージとなる。
時間で選ぶか、空腹感で選ぶか。
………。
決めた、階段にしよう。
やっぱりスピードが一番だ。
そうと決まれば俺は財布を持って家を飛び出す。
我が家はカードキーで開けるタイプのオートロック、財布にカードキーが入っていることはさっき確認した。
さぁ、行こう。
我が家から一番近い階段はすぐ目の前にある東階段だ。
俺はダッシュで東階段を駆け降りる。
冷静に考えるとそこまで急がなくていい気がしてくるが、気にしない。
ダッシュで降ると正直危ないが、何回も上り下りしたこの階段で転ぶはずがない。
そう、いつも通りなら。
このとき俺は完全に失念していた。
俺は今、非常に体の運動能力が下がっていたことを、だ。
一週間ほど続いていた偏った食事、食事をしばらく取っていないことによる栄養不足、そして寝落ちしたことによって体を痛めていたこと、それらが束となって俺を襲ったのである。
まず俺は足をもつれた。
そしてそのまま体勢を崩す。
そのあと階段に頭をぶつけた。
あーどくどくする。
頭が熱い。
血足りてないのを感じる。
やばい、意識が朦朧としてきた。
寒気がする。
辛いのに、眠たい。
やば、もう、目、開けてらんない。
クッソ……
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