第4話
「あっ…。」思わず口から声が出た。うずくまる態勢で目をパチッと開け、その後に体が動く事、音が聞こえる事に驚き、混乱した。涎を垂らしていたが気にも留めず、自分が生きてる事を確認した僕がすぐした行動は‥‥
「うわああああがああああああああいやあああああああらああああああああああああああ」大声で叫んだ。
何だあれは! 何なんだ!暗闇とかじゃない、見えていない。何も聞こえない、いや、感じ無い! そんな状態なのに 意識が無い、思考が無い! 考えられ無いから何も疑問に思わず、ただ黒い景色をずっと見ていた! ずっと! ずっとだ! 時間の感覚もわからないから、どのぐらい死んでいたのかもわからない。 生きてる! 生きてる! まだ僕は生きてるんだ。嫌だ嫌だ嫌だ! 死にたくない、死にたくない、死にたくない! 何だよ、これ! ふざけるなよ! 死んだらまたあの世界に行くのか、何でだよ! 怖い、やだ、助けてよ。苦しみたくないよ、嫌だ。誰か。
クソっ、クソっ、クソっ、何が輪廻転生だ? 何が魂だ? ふざけるな! 最初に言ったやつ誰だよ、嘘つきが!! そうだよ、考えてみたら目玉が無いから見る事は出来ない、耳が無いから聞こえる事も無い、体が無いから刺激を受ける事も無い、脳が無いから考える力も、心も無いんだ。だから何も違和感を覚えない。 霊になれば何でも出来るってか? ふざけるな!
嫌だ嫌だ嫌だ、何でいつかは死なないといけないんだよ、何なんだよ、皆はあの事実をあの世界を知った上で生きてるのかよ! 発狂するだろ! 怖すぎるだろ! 目を逸らしてるのか? どうしてだよ!僕だけがイカレてるのか? 僕が普通じゃないのか?
そんな事を考えると涙が出てきた、そして10分程経つと少し冷静になり周囲を見渡した。
ここはどこだ?
全てが真っ白な空間だ。足を着く地面があるけど壁も無く、ただただ広大な白が広がっているだけだ。何も調べる物が無いから情報収集もできない。ここは何なんだ? 僕はさっき死んだはず? 夢か? それにしては体の感覚がリアル過ぎる。天国ってやつか? 死後も肉体を貰えるのはありがたいことだが、こんな何も無い場所で一人きりで暮らせというのか? 先程の死も怖いが、ここでずっと過ごすのもゾッとする。ましてや天国だとすると死ぬことも出来るかどうかも怪しい。永遠にこの空間にいるかもしれない。
そんな事を考え、内心焦りながら周囲を見渡していると頭上から何か降ってきた。
一人の青年が降ってきた。見た目は白に近い金髪でクセのあるショートカット、肌も透き通るように白い。眼は青く、白の長い睫毛が生え揃い、鼻はスラッと整っており、唇は薄く、年齢は15才前後ぐらいのあどけなさを残した美少年が降ってきた。中性的な容姿だが彼が身にまとっていた薄い布切れの隙間から胸板が見えたので男性のようだ。そんな少年が目の前に降り立ったので話しかけてみた。
アキラ「お前は誰だ?」
謎の少年は答える。
?「僕? 僕は神だよ。」
奇しくも神と名乗る少年と一人称が被ってしまった。だが、神?
アキラ「神? そんなものがいたのか?」
神「ん~、正確には思念体かな。君達の世界の70億の人間がいるだろう? そいつらが神という存在を多かれ少なかれ望んだ。その思念の影響で僕を創り上げた。まあ、この姿も君達がイメージする理想が形作ったんだけどね」
神と名乗る少年は明るい口調でそう話した。随分と俗な神だな。
アキラ「ということはここは天国か?」
神「いや、ここは僕の家だよ。天国ならさっき見ただろ?」
それを聞いて体に寒気が走る。天国? あれが天国? あの虚無が? 何が天の国だよ! 地獄といっても差し支えが無いぞ!
アキラ「何で僕は生きているんだ? さっき死んだはずなのに。」
神「ああ! 僕が生き返らせたんだ。」
アキラ「何の為に?」
そう言った途端、神が先程までと一変し、冷たい口調になる。
神「君はさっきから自分の質問ばかりだね、僕の話を聞こうともせずに。そもそも挨拶すらもしてないよね僕はしたのに。その上、生き返らせた事に対するお礼も言わないつもりなのかい?」
少しムッとなったが、言われてみればそうだ。だが、言い訳をするようだが、こちらとていきなりこんな所にいるんだ、すぐに冷静になれないだろう。まあ、とりあえず挨拶とお礼をしよう。
アキラ「僕はアキラといいます。生き返らせてもらいありがとうございます。」
神「言われないと何も出来ないのかい? まあいいや、さっきの話の続きだけど、君に頼みたい事があってね。」
言葉に嫌味が含まれてるな。言ってる事は正論だが何だか腹が立ってきた。
アキラ「嫌だ! 他の人に頼んでくれ!」
少し声を荒げて言ってしまった。
神「いいのかい? そしたらまた死んでもらうけど?」
死ぬ? またあの世界に行くのか? 怖い! あんな所に二度と行きたくない。ヤバい、やっぱり前言撤回しよう。
アキラ「すまない、やはりやらせてくれ。」
僕はお辞儀をしてそう言うと
神「そうだよね、さっきはあれだけ泣き喚いてたからね。」
…ッ。自分の顔が赤くなっているのがわかる。先程のを見ていたのか! あの醜態を! そしてすぐに話しかけることはせずに僕の様子を観察していたのか! 何て嫌なヤツなんだ。僕はジロッと睨むと、神はニヤニヤと笑っていた。
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