詩集「憂鬱」

@kurokurokurom

憂鬱

レストランのピアノ曲が

際限なく脳内を埋め尽くして

僕は疲弊した肉体を

再度認識した

あなたはワインに口をつける

僕の口から出てくるものは

大した小説ではなかった

それでも微笑んでくれるのは

きっと運がよかったのだろう

沈んでいく夜景が

また浮遊してくる

悲しみはきっと

僕らをつないでいる

店内の壁が

さっきまで視線を跳ね返していたけれど

今では優しく包み込む

長い憂鬱が

空間を引き延ばしていく

あなたは食事を終えて

古い思い出を語った

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