後部座席の感触

@orangenius

嫉妬のビンタ

 全部彼が悪いんだ。1度は私のこと好きとか言っておきながら。結局みんな面食いであざとい女の子の方になびくんだ。そうに決まってる。

 彼の方から「好き」といってきた。本当にうれしかった。相手が特別気になっていたわけじゃない。それでも本当にうれしかったのだ。人生で初めて告られて,人生で初めて彼氏が出来たから。

 なのに彼は最近別の子とばかり絡んでる。

 「誠司く~ん。重たい荷物持って~。」

 「わかってるよ。貸して。」

 「きゃ~誠司君やさしい~♡」

 いっつもこんな調子だ。しかも誠司だけじゃない。他の男どももみんなあの高宮梨瑚とかいうあざとい女になびいている。な~にが彼氏だ。こんなことになるんだったら告白を断ればよかった。

 アニメの世界に出てくるようなあざとい女がまさか目の前に現れるとは。だが残念ながらこれは現実だ。付き合ってまだ1週間だが早くも別れることを考え始めている。

 未練?そんなものはとっくに捨てている。初めての彼氏だったが仕方ない。別れを切り出してもう関係を終わらそう。

 「ねえ?なんで最近あの女とばっかなの?」

 「だってお前女らしくねえんだもん」

 「は?じゃあどうして告ってきたの?」

 「それは…」

 「答えて!」

 「とりあえず彼女が欲しかっただけだ」

 何言ってるんだこいつ。と言いたかったがこの答えは私の中で予想できてしまっていた。

 「じゃあ別れよう。あんたなんかもう見たくもない。」

 「望むところだ。梨瑚ちゃんの方がはるかにかわいいしな!」

 「は?」

 その瞬間私の右手は彼のほほを思い切り叩いた。

 「最っ低!」

 彼との関係はこんなことで終わってしまった。

 全部彼が悪いんだ。

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