化粧咲き

半八重はんやえの 絢爛けんらんたらしむ 化粧咲き 卯月うづきを待たぬ ササベの散りぎは



(花弁の枚数が、およそ十枚から十九枚までの花を「半八重」という。その半八重が、まだ三月だというのに煌びやかに薄くれないに染まり始めた……ササベザクラの本来の開花時期は、四月上旬から中旬にかけてと言われているが……今年は随分と散り急ぐ)


-----

ササベザクラ:

 笹部新太郎翁の自宅の庭に自然発生したサクラの交雑種。通説ではカスミザクラとオオシマザクラの交雑とされてきたが、遺伝子解析の結果、オオシマザクラとソメイヨシノの交雑種の可能性がでてきた比較的新しい桜。

 開花初期は白色に近い薄ピンク色だが、散り際になると見た目のピンクがどんどん濃くなる「化粧咲き」という変化をとげる学術的にも興味深い、面白い個体が多い。


笹部新太郎:

 日本の植物学者。サクラの研究と育成保護といえば、このお方というレジェンド。若い頃は、犬養毅(五・一五事件で暗殺された内閣総理大臣)の秘書をしていた時期もあったよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る