滴る

 朝から彼は溶け始めていた。「そんなに暑い?」と聞くと「これでもましな方」と首を振る。繋いだ手の先から、ぽたぽたと彼の雫が落ちている。「夜まで保つの?」と聞くと「君と別れるまでは大丈夫」とうなずく。甘い彼はべたべたしている。蟻が寄ってこないか心配だ。

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