(13)

「自衛隊富士駐屯地の皆さん、任務ごくろうさまたい♥」

「ふ……ふざけるな……貴様らが何者か知らんが……子供の命と引き換えに、何て真似をやらせたッ‼」

「わ〜パパだ〜」

「お父さ〜ん」

 東京を火の海に変えた後……あたし達は誘拐した子供を連れて……富士山が見える野っ原にワープ。

 そこには迷彩服を着ている人達が居た。

「どうなってんだよ……? 説明してよ」

 あたしは「ガジくん」の姿のまま……。

「いや、子供さん達は無事やけん、明日、東京で変な事が起きたなら対処してくれ、って言っただけたい。で、こん人達は、ウチの言う通りに巨大化したガジくんミサイルで攻撃してくれたとよ」

「へっ?」

「子供達がガジくんと遊んどる様子と、ガジくんが牛の太股の骨噛み砕いとる動画送ったら……素直にウチの要求に従ってくれたとよ。ホント、気のか人達ね」

「残念だが……君の使った手を真似させてもらうよ」

 その時、自衛隊員の中で一番偉そうな人が、スーちゃんにそう言った。

「国を護るべき我々が……今や国賊だ……。最早……この汚名は永久に晴らせまい。子々孫々に到るまでな」

「ああ、なるほど……ここにミサイル降らせて、自分達ごとウチらを殺す気ね?」

「理解が早くて助かる。もっとも、理解した所で、君達に対処方法など……」

「ガジくん。ちょっと吠えてくれんね?」

「えっ?」

 次の瞬間、あたしの口は開き……国会議事堂に放ったのと同じ光が口から放射され……。

「えっ?」

「えっ?」

「な……」

「どうなって……」

「ま……まどわ……されるな……ヤツらの……ヤツらの罠だ……ち……違う……うぎゃああああ」

「解説すんね。ガジくんの叫びには……擬態能力を含めたレプタリアンの特殊能力全て無効化し、そして普通の人間が本能的に持っとるレプタリアンへの憎悪を増幅させる効果が有っとよ」

「ああああ……」

 その場に居た人達の中に、あたしの口から放たれた光を浴びて姿が変った人達が居た。

 大人も子供も……一〇人に一人から八人に一人ぐらいの割合。

 ある人は河童に……。

 ある人は蛇人間に……。

 別の人は……蛇人間に似てるけど……もっと蜥蜴っぽい顔に。

 そして……。

 始まった……。

 とんでもない光景が……。

 普通の人間達が爬虫類人間をリンチしていた。

 大人が袋叩きにされていた。

 子供が銃殺された。

 さっきまで友達同士だった子供達が殺し合いをしていた。

 やだやだやだやだやだやだ‼

 冗談じゃないよッ‼

「ボ〜っとしとらんで逃げるよ。そろそろミサイルが降ってくる頃みたいやけん」

「あああ……もう……嫌あああああッ‼」

「しかし……あのあん人達、気は善かけど阿呆じゃなかろか? ウチらがワープして現われたとに……何でミサイル攻撃が通じるとか思ったとやろ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る