14.お下がり

羽織った服は、つんと樟脳の臭いがした。

「それ、いとこの美紀ちゃんのお下がりだから」

ああ、よく覚えてる。つんとした感じの、綺麗なお姉さんだった。賢そうで背筋が伸びてて、目も切れ長で。

また会いたいな、と思いかけて我に返る。

私、なんで、樟脳にときめいてるんだろう。

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