私、エリックのこと信じてるから
「あ、おかえりエリック。ドロシーさん、エリックが帰ってきたよ」
「お、おかえりエリック。……あれ、ど、どうしたの?」
「ん? い、いや、なんでもないよ」
家に帰ると、ドロシーから様子がおかしいと思われたのかそんなことを聞かれてしまう。けれど、今日起こったことをドロシーに伝えるのは彼女にとって辛いことになるだろうし、言わない方がいいはずだ。だから俺は、なんとかドロシーに心配かけないよう誤魔化そうとした。
けど。
「……ほんと? エリック……いつもより表情が暗いよ」
「あー言われてみれば。さすがドロシーさん、いつもエリックと一緒にいるからそういうのがわかるんだね」
コレットも気づいていなかった違和感をドロシーは見抜いていたようだ。やっぱり、あの日からずっと一緒に過ごしてきたからこそ、俺が気づいていない癖とかも分かっているんだろう。
「そ、そうか? 気のせいだろ」
それでも俺はドロシーに本当のことを言えない。またドロシーがあの時のように気絶してしまうのが怖かったから。ドロシーにお兄さんのことを言わずに俺だけで解決してしまえば、それで済む話だ。だから俺は何もドロシーに伝えずにこのままごまかし通す。それが一番、ドロシーにとっていいはずだから。
「……もしかして、お兄様のこと?」
「!?」
けど、ドロシーは俺が何を隠しているのか全てお見通しだったようだ。
「……エリックが私に言いたくないことなんて、それくらいしかと思って。帝国に行った時、お兄様に会って……何か、私のことで脅されたの?」
「……」
ここまで見透かされていて、それでも誤魔化そうとするのはもう無理だ。諦めて俺はドロシーに今日会ったことを話した。ドロシーのお兄さんに会ったこと、専属の武器職人になれ、そうしないとドロシーを危険に晒すって脅されたことを。
「……お兄様らしいや。目的のためならどんな手を使っても成し遂げようとする……ごめんね、エリック。こんなことに巻き込んじゃって」
「ドロシーが謝ることなんてない! 悪いのは全部ディランだろ!」
「……ありがとう、エリック」
「でも、これからどうするのエリック? ドロシーさんを危険に晒すくらいならいうことを聞くしかないと私は思うんだけど……」
コレットのいうとおり、それが無難な選択だろう。あいつが裏切ってドロシーのことを襲うかもしれないけど、いうことを聞かなければ確実にドロシーのみに危険が及んでしまう。
「……ねぇエリック。私はエリックのこと信じてるから。だから、どんな選択をしても、信じてついていくよ」
「ドロシー……」
ドロシーがそう信じてくれると言ってくれたことが、すごく心の支えになる。俺はぎゅっとドロシーのことを抱きしめて、ドロシーに誓った。
「もう二度とあんなクズにドロシーを苦しめさせない。絶対にドロシーのことを守り抜くから」
「エリック……うん!」
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読んでいただきありがとうございます!
この作品の執筆が詰まり気味で進まないので、更新ペースが落ちます。すみません。
https://kakuyomu.jp/works/16817139554644579023
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