6月28日

うだるような暑さを乗り越え

お家に到着

暑すぎてすぐクーラーや扇風機に飛び込む!

…というのはできないのが現実

カメのようなスピードで「あー」だか「うー」だか

言いながら重い足をひきずり部屋へ向かう

服は汗が染みこみすぎていてきつい辛い重い最悪


地獄の階段を上がるために鞄たちを玄関にサヨナラバイバイし

ようやく我が桃源郷(自分の部屋)に到達する

クーラーをつけ同時に扇風機をつけるという大罪を犯しながら

ついに至福の時を得ることに成功

人間不思議なことに目の前の幸せに集中してしまうと

他が見えなくなることがある

扇風機の風があまりにも神すぎて服を脱がぐことも忘れていた

とはいえ少したってまず下半身の気持ち悪さを何とかせねばと思い立つ

頭が暑さであっぱっぱーになっていたのでここで痛恨のミスを犯す

下着を『替える』のではなく『乾かす』ことを選択してしまいます

風の方向を下半身に集中した時『スカート』の存在が邪魔なことに気づく


スカート

女子高生が3年という限定的な破壊力を放つ魅惑のアイテム

とはいえこのスカート君

風がぴゅーと吹いたらめくれてしまう

なんてアニメや漫画のようなことになるわけなく

そもそも風もそれなりにしか通さない

正直こんなくそ暑い日は非常に蒸れて熱くなり

さらにうちの高校のスカートは最悪なことに黒に近い色

お日様のサンパワーを存分に吸い

熱帯を形成する

悪夢のような現実がそこにある


というわけでその壁を脱衣

わが純白の最後の城壁に風に当てることに成功する

そしてそれが最高に

「んきもぢぃ~~~~~~~~~」

何ともほがらかな声がした


それから幸せの要因に浸り

時間も忘れたころ

『ピンポーン!』とチャイムが鳴った

2階の窓から玄関を見ると宅配便だとわかった

気分を良くした結果対応することにした


施錠を解除し迎え入れる

宅配のお兄さんは段ボールを一つ持っていた

きっとお父さんかお母さんの頼んだやつだろう

おや?

お兄さん顔真っ赤である

この暑さにやられた自分のようだ

この暑さでお仕事を頑張るお兄さんが妙にかっこよく見えて

サインを終えた後サービスで冷凍庫の飲み物をあげることにした

とはいえあったのはお父さんの栄養ドリンクだけだった

なんか勢いの良い蛇のパッケージだなと

まあないよりましかと思って差し上げた

困惑した様子でドリンクを妙に気にしながら

なんぞ内股でもじもじしながらお兄さんは帰っていった

変ではあったがお仕事に戻っていく

すごいな~

こんな殺人級の暑さでもまだ頑張っている

本当に尊敬する

ああいう大人になりたいものだ


そう満足して部屋に戻る

扉を開け再び幸せ空間で夢心地

ふいにベッドに何かが投げてあるのを見た

スカートだった

あー…

ね?


その後ずっと顔が真っ赤になって

夜は眠れなかった

それから生涯

何も知らされていない時のチャイムが鳴っても

私は開けることはなくなった

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