お酒は心の栄養

「誰がそんなことを言った?」


多分この世に生を受けた両手を使っても数えきれない人達だ。

私自身もそう言うだろう。


「何故そう思う?」


酒を飲むと心が晴れる。

酒に酔うと眼の前にある色眼鏡が霞む。

本当の自分が語りだすんだ。


「窮屈に感じているんだな自分を。」


多分違うと思う。

窮屈には思っていない。

ただ単に「煩わしかった」ってだけだ。


「それは窮屈と言うことではないのか?」

「それこそ窮屈ってものだよ」


人が生きるということは他人と関わるってことだ。

自分一人では生きられない。


「だからこそ折り合いを付けるんだよ。そんなに難しいことじゃない、

納得して理解するだけだ。」


納得をして理解してどうなる?

自分自身を誤魔化しているにほかならないのか?


「不器用な人ならね。でもいい薬がある。」


酒か?


「そうだよ。自分自身を表現できる。」

「そうか、自由に言葉にできるのか。」


だから心の栄養なんだな。

だから心の栄養なんだよ。


「だったら…。」

「…そうだね。」


抱え込む前に。

零れ溢れる前に。


「「酒を飲もう。」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る