エリューシアからの報告
「エリューシア、どうしたの?」
「アルマさん達にいくつか伝える事がありまして……」
「ボク達に?」
エリューシアは、アルマ達に伝える事がいくつかあるようなのでそれを伝えるために来たのだそうだ。
「まず、レーツェル殿下からの報告ですが……、リーベル公国最北端の町の『オルガスタ』がドラゴンによって壊滅したみたいです」
「ドラゴンが……!?」
「しかも『オルガスタ』が壊滅だって!?」
最初に報告された内容は、レーツェル王子からの報告で最北端の町『オルガスタ』がドラゴンによって壊滅したという報告だった。
それを聞いて、ケリンはドラゴンが現れた事にアルマは町が壊滅した事に驚いていた。
リキュアとリリも顔を青ざめている。
「殿下が言うには、今回のドラゴンは電撃を使うサンダードラゴンらしく、空中から電撃を落とし続けていたようです」
「サンダードラゴン……、ドラゴン種の中では中堅的な強さを持ってるタイプの……。 かなり厄介だね」
「それで、町を壊滅させた後の奴はどうしてるんだ?」
「壊滅した『オルガスタ』近辺の山で一休みしているそうですよ。 これらは現在宮廷魔術師になっているアルマさんのお母様が作ったファミリアで確認したものとの事です」
「お母さんのファミリアで見た情報ね。 しかしドラゴンが動いて来たのかぁ」
アルマが額に手を当てながらそう嘆く。
今回出現したサンダードラゴンは、ドラゴン種の中でも中ぐらいの強さを持っており、空から電撃を落とす厄介なドラゴンなのである。
そんなドラゴンが最北端の町の『オルガスタ』を瞬時に壊滅させたのだから、その強さは推して知るべきだろう。
「それで他国の動きは?」
「殿下が大公様に報告して、他国にも協力の呼びかけをしてもらうそうですが……」
「あー、アレックス帝国は厳しいんじゃないかな……」
「そうか、リリやリトの双子を追放したのも帝国のギルドで、しかもギルドの大半が現皇帝と冒険者連盟に反逆の意志を示しているから」
「二つ目はその子たち関連ですが、脱退手続きをようやく完了したそうです。 連盟の帝国支部はギルドに罰を与えたいそうですが、さっき言ったように反逆の意志を明確にしているそうで……」
「ああ……、やはりねぇ。 下手したらクーデターかな?」
平行して報告した二つ目の内容は、リリとリトの双子の脱退手続きを完了したとの事。
ひとまずこれで、双子は他のギルドへの移籍が可能になったのも同然だ。
だが、追放した帝国のギルドは現在の皇帝と冒険者連盟に反逆の意志を明確にしており、クーデターが起きる可能性も出て来たようだ。
「だが、これでリトやリリは自由に他のギルドに移動できるようになったな」
「そうだね。 リリちゃんがよかったらうちのギルドに入ってもらいたいと思っているけどね」
「え……?」
リリとリトの双子が脱退手続きを終えたために、自由にギルドの移籍ができるようになった事で、アルマは双子を自分のギルドに入ってもらおうと考えていたようだ。
それを聞いたリリは、驚いていたようだが。
「いいんですか……? 私やリトは、双子で弱いですよ」
「訓練や実戦経験で盛り返せるんだし、焦らずにやっていくのがうちのコンセプトだしね。 仲間や家族は多い方がいいよ」
「俺もその方がいいと思う。 別の形で理不尽な扱いを受けた俺もその気持ちはわかるしな」
「ケリンお兄さん……?」
「ああ、ケリンさんはかつてのエリクシア王国のギルドで理不尽な扱いを受けていましたね」
アルマの案にケリンも賛成した。
どうも双子の理不尽な扱いはかつての自分と重なったようだ。
エリューシアやリキュアも、それを思い出したようで手をポンと軽く叩いた。
「本当に、ここにいてもいいんですか……?」
「うん、もちろんだよ」
「ここがリリ達の新たな居場所だ。 安心していい」
「私達も歓迎しますよ。 よろしくお願いしますね、リリちゃん」
「あ、ありがとう……、ありがとう……ございます……」
アルマ達の優しさに触れて不意に涙を流し始めたリリに、ケリンは優しく抱きしめアルマは彼女の頭を撫でた。
リキュアやエリューシアも、その様子を見守っていた。
「それじゃ、リリちゃんとリト君の加入手続きは明日ボクがやっておくよ。 ケリン君は今日はリリちゃんをお願いね」
「ああ、分かった」
「リキュアはリト君に紙で伝えてあげてね。 あの子喋れないから紙で会話した方がいいと思うし」
「分かった。 こっちは任せて」
「エリューシアは、他のメンバーにもその事を伝えておいて。 特にドラゴンの件は」
「了解しました」
リリが落ち着いた所で、アルマがてきぱきと各メンバーに指示を送った。
アルマの頼み通り、ケリンがリリの傍に居てあげる事になった。
彼女はケリンに懐いている感じだったのを見たアルマの判断だ。
リトの件もリキュアに任せ、エリューシアには今回の件を他のメンバーに伝えるように命じて解散した。
「さて、リリは俺の部屋に行くか? それとも先にリトがいるリビングに行くか?」
「いえ、先にケリンお兄さんの部屋に行きます。 色々とお話もしたいですし」
「分かった、じゃあ俺の部屋に案内するよ」
「はいっ♪」
満面の笑顔を向けて、リリはケリンの手を繋いで彼の部屋へと一緒に向かったのであった。
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