絵本と映画【精霊の歌】 4月21日より。
【精霊の歌】
深い森の湖のほとりに3姉妹の精霊が居ました、歌は上手だが醜い者、裁縫が得意だが目も口もきけぬ者。
そして、美しいが声が呪われた者。
仲睦まじく支え合い、とても仲良く暮らしていました。
そこに1人の騎士がやって来ます。
その者は精悍な顔立ちに逞しい肉体、そして気高い精神を持って居ました。
ですが血にまみれになり大怪我をして、今にも息を引き取りかねません。
神聖な泉を汚したく無かった精霊達は、其々に知恵を出し合い、何とか無事に追い出そうとします。
彼が気を失って居る間に1人は傷口を縫い、1人は歌で傷を治し、1人は呪いの力で彼を黄泉から連れ出しました。
そうして彼が気が付くと、歌の上手い精霊が、呪いの声を借りて追い出そうとします。
《立ち去れ、穢れた騎士よ、この湖から立ち去るのだ》
「それでもどうか、命を救って頂いたお礼を、どうかさせて下さい」
《もしそう思うなら、海に住まう精霊に伝言を届けるが良い》
この地から追い払う為だけの伝言を、彼に授けました。
ですが彼はそれを信じ旅に出ます。
愛馬と共に、アザラシの精霊に会いに。
時に悪い精霊に騙され、西へ進み。
悪い魔女に東へ連れ去られたり、そうしてやっと北の海へ辿り着きます。
ですがアザラシとアザラシの精霊を見分ける事が出来ないので、伝言を伝える事は出来ません。
間違ってただのアザラシに伝言を伝えては、呪いで死んでしまうからです。
困った騎士は知恵を絞り、立て看板を設置します。
【伝言アリ、求む、アザラシの精霊】
人間への警戒心が強いアザラシの精霊が出てくる筈も無く、ただただ寒い海辺で過ごす騎士。
そこへ花の精霊が通り過ぎ、彼に取引を持ちかけます。
アザラシの好物にそっくりな貝を、木で作ってくれたらヒントをあげる。
その言葉に1も2も無く返事をし、手持ちの小刀で流木から貝を作りあげました。
そうして花の精霊に渡すと、1匹のアザラシ前に投げました。
そのアザラシは貝の彫り物をジッと見ると、口から人の手を伸ばし取ったのです。
そうしてやっとの事でアザラシの精霊を見付けられたので、伝言を伝えます。
「湖の精霊は元気にしています」
何の事か分らないアザラシの精霊ですが、ニコニコと海へと返って行きました。
そして今度は、伝言を伝えたと報告しに湖へと戻ろうとします。
そこでまた悪い精霊に南へ連れ去られたり、悪い人間に陥れられたり。
何度も邪魔をされながらも、彼は湖へ戻って来ました。
追い返した筈の人間が帰って来たので、姉妹は怒りましたが。
旅の話を聞くうちに、こんな誠実な人間が居るのかと驚き、そして湖に立ち入る許可を出します。
そうして彼は家を建て、得意の木彫りで生計を経て始め、街へ行き面白い話を仕入れては3姉妹に振る舞う。
そうやって何年か過ぎた頃、裁縫の得意な精霊が姉妹に打ち明けます。
彼を愛してしまったと。
そして2人の姉妹もまた、彼を家族として愛していると話します。
ですが彼は人間、姉妹は精霊。
姉妹は思い悩んだ末に、裁縫の精霊を眠らせ、声と目を、寿命と言う呪いをあげました。
そうして泡となって消えた姉妹を思い、夫婦になった2人は仲良くその地で幸せに暮らしましたとさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます