【3人の神様】 2月16日より。
【3人の神様】
大昔の遠い国、そこには1人の神様が居ました。
彼は最初、ただの案山子でした。
雨にも負けず、風にも負ける事無く畑を守っていました。
嵐にも台風にも、鳥にも負けず、人々の食べ物を守っていました。
そんなある日の夜。
一撃の雷によって、案山子は壊れてしまったのです。
その案山子を可哀想に思った村人が、その場所に祠を作り、今度は木を植えました。
木はすくすく育ち、あっと言う間に大木へ変身したのです。
村人もとても喜び、その木の下で宴をあげました。
結婚式もお葬式もそこから始まり、人々の憩いの場となりました。
ある時、人の形をした神様がお散歩に来ると、その木陰で休憩しました。
「良い木だね、手入れもされて大事にされている様だ」
「そうだね、良い木陰だ」
人形の神様の手には盃があり、声はその中で揺れる銀色の液体から聞こえていました。
村人も自分も褒められ、木は喜んで返事をしました。
「ありがとう」
人形の神様と銀色の神様は少しビックリしましたが、直ぐに仲良くなりました。
「君も一緒に旅をしないかい?」
「そうだね、とても楽しいよ」
その申し出はとても有り難かったのですが、ココを離れる方が心苦しかったので、断ってしまいました。
そうして束の間の神々の出会いは終わりを告げ、2人の神が去ってしまうと。
木は少し寂しくなったのか、今にも枯れそうになります。
そして、それに気付いた小鳥が提案します。
「あなたの実を、お供にしては?」
その提案に木は嬉し涙が1つ零れました、その涙が地面に落ちる寸前に実となり、小鳥に運ばれます。
そうしてその実を受け取った2人の神は、3人になり、一緒に旅をしましたとさ。
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