加護
「トム?」
「ん?ああライトのすごい数値にびっくりして固まってしまいましたよ。
流石に勇者様です」
言った俺をライトがまた不安そうにみた。
「大丈夫!大丈夫!今は少しライトが凄まじすぎて頭が混乱しただけ!
むしろライトがやるべきことが達成される確率が上がったことを喜ぼう!
流石俺が認めた男だ!それよりこの加護ってなんだ?聞いたことないぞ?」
「トム見えてるの!」
「見えるも何もここに書いてあるじゃん」
ライトのステータスにある加護の部分を指さした。
「本当に見えるんだ!お父さんもお母さんも見えなかったんだよ!
やっぱトムはすごいね!」
「いや見えるぐらいですごくはないだろ」
呆れた顔をしてライトに言った。
「それより太陽神の加護ってのはなんなんだ?スキル見たいなものなのか?」
「それがね、よく分かんないだ。
スキル見たく触っても何も出ないんだよね。
でもお父さんが神様の加護なんだから悪いものじゃないって言ってたからそう思う事にしたんだ」
「たしかにそれは一理あるな」
ライトのお父さんの言い分に納得した
「ところでさ、いつからトムは自分のこと俺って言うようになったの?」
元の顔に戻った幼馴染は聞いてきた。
俺は昔を思い出す。
『わい、ベネットすきなんだよねー」
『ライトが女の子の気持ちを考えてないの、わいは頭が悪いと思うぞ」
『ライト。恋文をナナさんから渡せって言わられたから渡しにきたぞ。
わい、いいように使われてるなー』
うん、たしかに[わい]と言っていた男の子が[俺]と言ったらおかしいもんな。
そもそも記憶あるのになんで間違えるんだよ。
「えーとアル兄の真似かな、」
「嘘だよね」
誤魔化したのバレた俺をライトは見つめる。
「話したくない理由はわかんないけど。
今も昔から僕を助けてくれるトムなら、なんか理由あるんでしょ。
いつか僕に話してくれると嬉しい」
「わかった。少し待ってほしい」
察してくれてる友に感謝した。
「やっぱあるんだ」
「おい」
「大丈夫聞かないよ。
それより安心したらお腹空いてきた。
僕、なんか作ってくるよ!」
俺の返事を待たずにライトは部屋を出た。
「ちょっといいかいトムくん」
入り口に顔だけを出したグラムおじさんが俺に話しかけてきた。
「うまかったよライト!」
「そりゃそうだよ!母さん直伝なんだから」
自慢げな顔をするライトに言われる。
ライトの母親は今この村にいない。
子供を授かったので、街にいる親戚の家でお世話になっているらしい。
「んじゃ帰るわ」
「暗いから気をつけてね」
悩みが解決し元気になったせいかなかなか帰してくれなくて結局遅くまでライトの家にいた。見送るライトに背を向ける家路につく。
途中白い蛇がニョロニョロと少し前を、通って行った。
父さんと母さんは遅くなった理由をどうやら聞いていたので帰ってきても怒られず済んでよかった。
俺は身体を拭き、爆睡した。
「よし、完成した!」
いつもより早起きして作業を開始し、見事に完成した畝達を見て満足した。
「よし帰るか」
「トムくん」
後ろから女の子の声が聞こえた。
「ナミちゃんじゃん。朝早くにどうしたの?ライトならここにはいないぞ?」
「うん知ってるよ。
実は相談したいことがあって、ちょっとだけ時間もらえない?」
ライト非公認ファンクラブNo.4のナミちゃんが話しかけてきた。
創設者は俺だ。何故ならライトと仲のいいをことを理由に個別で質問や相談をしてくるのが面倒になったため。
定期的に集会を開き、そこで情報を皆で共有することで俺の負担を軽くするためだ。
「ナミちゃん明後日の集会じゃダメなのかな?」
「ライト君は関係ないことなの。
だから今日お願いしたいの」
「相談相手が俺で大丈夫?」
「うん。ライト君について相談した時、すごい真剣に話を聞いてくれたじゃない。
きっとトムくんに相談したら解決すると思うの」
信頼されて少し俺は照れてしまった。
「わかったよ、ここで大丈夫?」
ライトの件もあったので一応聞いてみた。
「聞かれてもそんなに重要なことじゃないからここで大丈夫」
「そっか、じゃあ相談内容をどうぞ」
「私
聖女なの」
「はい?」
「お母さんとお父さんにはまだ見せてないの。きっと見せたら教会に連れていかれちゃう、トムくんどうしたらいい?
この村から、、出たく、、ないよ」
ナミちゃんは泣き出した。
どこが重要じゃないんだ?
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