第28話 野宿と野獣退治
山では大規模な工事がされていた。
「すごい工事ですね。なんの工事ですかね?」
「この辺りは土砂災害が多い地域だからな、それの対策工事だろうな」
「木を切り倒す工事、住人の安全のためとはいえ自然を壊してる感じはしますね……」
あたりを見渡す三人。
「今のところ魔獣は全然いませんね。このあたりで夜まで見張ってみますか?」
「うむ、そうするか。さっそくテントを張ろう。野営の準備だ」
「えーこんなところで野宿するの……」
生き生きとするオリビアと対照的なグリンダ。
「ペルーサとグリンダは食事の準備でもしててくれ」
「ペルーサ君って料理できるの?」
「いや……全然ですね」
「私もよ……」
「とりあえずカレーでも作りましょうか。僕は野菜を切りますよ」
ペルーサが包丁で野菜を切り始めたとき、
「ペルーサ君……魔法使えばいいのに……」
「え?」
「風魔法で野菜なんてあっという間に切れるんじゃない?」
「なるほど……」
野菜を並べ、ペルーサは風魔法を唱えた。
すると並べられた野菜が次々と粉々にみじん切りになった。
「……ちょっとやりすぎましたね」
「もう! 野菜が粉々じゃない! 力加減考えなさいよ!」
「すみません……」
「すごいレベルなのにほんとに不器用ね!」
炎魔法で火をおこし、粉々の野菜でカレーを作った。
「お、もうカレーできたのか! こっちもテント張り終わったぞ」
食事をする三人。
「うまいカレーだな! でも具材が何も入ってないんだな。まあこれはこれでシンプルでうまいぞ!」
「…………」
◇
あたりが暗くなってくる頃。
「二人とも! 起きてください。そろそろ夜になってきましたよ」
ペルーサはテントの二人を起こしに行く。
「んんー……もうそうな時間か。魔獣は現れたか?」
「まだ現れませんね、グリンダさんも起きてください!」
「むにゃむにゃ……もう少し寝かせてよぉ」
いつものよう半裸で寝てるグリンダ。ペルーサは目のやり場に困った。
「お、起きてください! 早く服も着て! もう! 野宿なんだからそんな恰好で寝ないでくださいよ!」
二人を起こし、見張りを続けるペルーサたち。
「だいたいああいう魔獣は夜行性だからな。そろそろ現れるんじゃないか?」
「はやく退治してシャワーを浴びてもう一度寝たいわ……」
「グリンダさん……こんな山奥にシャワーはないでしょ……」
『ガサガサ』
その時、山の奥から足音が。そのもかなりの数のようだ。
「来ましたね!」
「ああ、準備しろ」
「あーもう、ちゃちゃっと退治してちょうだい!」
数十匹ほど野犬型魔獣が姿を現した。
「こいつらが畑を荒らしてるんですね」
立ちはだかる三人に襲い掛かる魔獣たち。
ペルーサとグリンダは魔法、オリビアは剣で撃退する。
野獣は襲い掛かるもバタバタとやられていく。
「あら、楽勝じゃない」
グリンダは余裕の表情。強力なダンジョンのボスを倒してきたパーティーにとって、野犬型魔獣は確かにたいした相手ではなかった。
「このまま全滅させましょう!」
その時、
「なんじゃお前たちは!」
「!? 野犬の群れから人の声? それも女の人……?」
一際大きい野犬が姿を見せた。
その背中には女の子が跨っている。
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