第26話 オリハルコンのダンジョンへの旅立ち

いよいよオリハルコンのダンジョンへの出発の日。



 「おい! いい加減行くぞグリンダ!」


 「いやよぉー! やっぱり行きたくないわ! 片道3日はかかるわよ!」


 「グリンダさん! あきらめてくださいよ! 一緒に行ってくれるって言ったですから」


 「でも……」


 一度は行くと言ったグリンダさんが出発の直前。城門まで来て駄々をこねている。




 「オリビアさん……グリンダさんはあきらめて2人で行きましょうか?」


 「ああ、そうだな……」


 あきらめかけたその時。




 「ペルーサ。オリハルコンのダンジョンへ行くようですね」


 「カノン様!」


 「見送りに来ましたわ」


 お姫様の突然の見送りに僕たちは驚いた。




 「オリビアもグリンダも、ペルーサをよろしくお願いしますね」


 「はい。でもカノン様。グリンダのやつがビビっちゃってるんですよ」


 「えっ? グリンダが?」


 「ち、違います!」


 慌てるグリンダさん。




 「もちろん私も一緒に行きますわ! ペルーサ君は任せてください!」


 「よかった! お願いします」


 


 「……グリンダはカノン様には逆らえないからな……」


 「……ええ。ダサいですね……」


 


 「ほら! 2人とも! 行くわよ!」




 僕らは馬車に乗り込む。


 「それじゃ行ってきますね。カノン様」


 「気を付けてくださいね! 何日くらいかかるんですか?」


 「片道3日くらいですね。何日か野宿して向かいますよ」


 「そうですか……」


 少しうつむくカノン様。




 「カノン様?」


 「ちょっと心配です……」


 「え? 大丈夫ですよ! オリビアさんとグリンダさんも一緒ですし」


 「いえ……だから心配で……」


 「え?」


 「2人とも美人だから……そんな2人と何日も泊りなんて……」


 「そ、そんな! 大丈夫ですよ! 僕にはカノン様がいるんですから! あんな2人目に入りません!!」


 「ほんとですか……?」


 「はい!」


 「なら安心して待ってますね!」


 「はい! 待っててください! 行ってきます!」




 ◇




 オリハルコンのダンジョンへ出発した僕ら。


 「……」


 「あの……さっきから2人とも黙ってどうしたんですか……?」


 「……いえ、ペルーサ君が私たちのことをそう思っていたのが悲しくて……」


 「そうだな……目に入らないそうじゃないか……」


 「いえ! それは……」


 「いつも私たちのふろを覗こうとしてるお前がそんなことを言うなんてな」


 「の、覗いてなんかないですよ! いつも事故ですよ!」


 


 「まさかカノン様も一緒に住んでるとは思っていないでしょうね……」


 「そ、それは……」


 「これはまたなにか口止め料が必要になったわね」


 「ええーー!?」




 前途多難な長旅のスタートになってしまった……

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