⑦ 鏡

(1)

病棟の廊下は 白が目立って 少し淋しいね 母さん

車椅子 ここに止めて 少し休もうか?


ふと立ち止まったのは それだけじゃないのよ

鏡があったから


映っていたのは 若い頃の元気な母

それは確かに私だった


「父さん そっくりね」いつも言われて それが嬉しくもあったの

母より父のほうが 優しかったし


もう怒らなくなった 母を見つめている

涙があふれそう


私達を見ながら誰かが言う

「そっくりだ」と

そうね 母さん 親子だもの


そうね母さん 親子だもの



(メモ)

実話に近いです。

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