神との戦いに敗れた魔王は人間世界に素を離した。素は女の子を宿主として魔王復活を目指した。ストーカー、変質者、変態者、苛めなど経験しながら少女と魔王は成長していった。
北宮 高
第1話 序章
黒い影と銀色の影が凄い速さで空間を移動していたが、黒い影が急に動きを泊めた。
(捕まったか? 年寄りだと思い舐めていた。体に銀色の鞭が絡まっている。段々力が抜けて来た)私は鞭を持つ相手を見据えた。
銀色の鎧に銀色のマント、鞭を持つ手の手甲に七色の宝石が散り嵌めてあった。
初老で白髪交じりの長い黒髪が少し乱れている。
頬から口廻りの髭も白髪交じりで、肩で息をしている。
(あと少しで逃げられたのに、やはり、大神のゼノンだ、体が段々硬くなってきた。もう終わりだな・・・・)
「ゼノン様、やっと捕まえましたね」
「早くて見えなかったですが、さすがゼノン様!」
(うるさい小神達が現れた。金、銀、緑、紫の髪色をした小娘4人だ。私を白日の鏡の中に連れて行くつもりだ。その証拠に能力を封じ込める白い縄を持っている)
(あそこに入れられると、体の皮を一枚ずつ剥がされ溶かされてしまう。せめて私の素は何処かに移動させないといけない。放すにしても、今のこの状況では感づかれてしまう。小神達が近づいてくる)
「魔王のおじさん、目が少し垂れていて可愛い!」
「髪の毛も髭も黒くて、魔王と言うけど怖くみえないー」と言いながら近づいてくる。
(そうだ! 私に触れろ! そうすれば・・・・)
「待ちなさい! 触らない方が良い。まだ欲の皮を纏っている。もしそれが性欲の皮なら? 触ると淫獣にされる」
「淫獣って何?」
「淫獣になりたい!」
(しまった。感づかれたか? 今、小娘らを淫獣にして、騒いでいる間に素を放そうかとしたが・・・・)
ゼノンは「そうだ、中神のアマンを呼ぼう。彼女なら淫獣にはされないだろう」と鞭を持たない手を高く翳した。
暫くして、大柄な女性が現れた。2m近くはありそうだった。
両腕と太股まで露わにしたコスチュームで長い髪は金髪だった。
アマンは小神達から白い縄を受け取り、私の前にやって来た。
そして、私を見上げた。高い鼻と青緑色の瞳が気位の高さを感じさせた。
そして。白い縄を私の体の後から廻した。
その時、私は残っている力を振り絞り、アマンに体を付けたが、もう前で縄を縛りかけている。
(やはり、効かないのか?)と諦めた時「ああー」と妙に色っぽい声が聞こえ、目の前に青緑色の瞳があり、私の両肩を掴み接吻しようとしていた。
「如何した! アマン! 惑わされるな!」
「きゃー アマン様が淫獣になっちゃう!」
(よし、今だ!)私は素を放した。如何やら騒ぎで気が付かれなかった。
数ミリの私の素は雲の間を通って、欲で満ちている人間の社会に落ちて行った。
正気に戻ったアマンは慌てて私から離れた。
「大丈夫か? アマン、少し取りつかれたようだが?」
「大丈夫です。その様な欲望には屈しませんから」と私を少し宙に浮かし「魔王オルゴンを白日の鏡に連れて行きます」と大神ゼノンに伝えた。
小神がアマンに纏わり付き「アマン様、淫獣になると、どんな気持ちになるのですか?」と聞いていたがアマンは無視してその場から消えた。
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