瞳を閉じれば、そこに


 ひだまり幼稚園は、まだそこに在った。

「……知らない場所みたい」

 家族ごっこをした家型の遊具。水を止めるよう叱られた手洗い場。檸檬の匂いがする葉っぱの木。すべて撤去や改装で姿を消していた。

 だけどあの日の会話を、土の感触を覚えてる。どれだけ変わろうと、ここは思い出の場所なのだ。




【お題:思い出の場所】

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