それじゃ足りない


「彼、すごいな」

「新木君に比肩するのはあの子くらいだろうよ」

 噴き出す汗を拭いながら振り返る。聞こえてきた声の言う通り、確かに新木と並ぶタイムだ。でも。

(駄目なんだよ、同等なんかじゃ)

 ずっとあの背中を追ってきた。負けない、越える、先へ行く。それだけが俺の走る理由なんだから。




【お題:比肩】

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