花になりたい


 誤答するのは、長い睫が蝶のようにヒラリと舞うのを見たいから。

「ああ、違いますよ月彦つきひこさん。ここは係り結びなので……」

 先生が僕の手元を覗き込む。花柄のたもとももに触れる。今だけは、羽ばたきを密かに見つめていられた。

 畳の上で膝を寄せ合う夏休み。先生の蝶が静かに、僕の胸を熱くする。




【お題:瞬き】

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