第8話 職業選択
「うん……」
俺は現在、セーフゾーンの地面に座りながらステータス画面を見て頭を悩ませている。
モンスターハウスでの戦闘から更にダンジョンの奥へと進み、既にかなりの時間が経過してる。
ここに至るまでにゴブリンやスライムと言った魔物との戦闘も繰り返しておりレベルも少し上がった。
そしてそのレベルアップにより、俺は今頭を悩ませている。
俺の目の前にはステータス画面と、その上にかぶるようにもう一つウィンドウが出ている。
そこに書かれている言葉はこうだ。
★
チュートリアルレベルを越えました。
職業を選択可能です。
職業を選択してください。
★
レベル自体は5レベルに到達した事から、恐らく5レベルまでがチュートリアルということだろう。
にしてもチュートリアルレベル?
まるでここからが本番みたいな意味にとれてしまう。
レベルの本番ってなんだよ? って話ではあるんだがな。
俺はそう思いながら前面に表示されているウィンドウを閉じ、ステータス画面の職業の欄を軽くタッチする。
すると今選べる職業が別ウィンドウとしてずらりと表示された。
「以外に多いな」
俺は表示された職業を見て率直にそう呟く。
表示されている職業はこんな感じだ。
★
『戦士』
『射手』
『盗賊』
『僧侶』
『魔法使い』
『忍者』
『魔法戦士』
★
色々な可能性を予想してたが、助かった。
ここでもし『学生』や『教師』なんていう存在するものが表示されていたら、内容を予想するのが難しく選ぶのに難航していた事だろう。
見て大体文字だけで内容が予想できるようなもので本当に助かった。
だが七つ表示されている中で明かに場違いなものが二つある。
それは下の二つ、『忍者』と『魔法戦士』だ。
この二つ以外に関してはある程度最初に選ぶ職業としての妥当性というか、ここから始めていくという雰囲気を感じる。
勿論、色々なゲームをやってきたことで潜在的な意識に植え付けられたものなのかもしれないが、それでもそう感じる。
だが下の二つ、この二つに関しては最初に選ぶものではなくどちらかというと選んだ職業から派生した上位のもののような気がする。
ただ断言はできない。
何せ先駆者が居るわけじゃないからな。
とりあえず各職業について整理してから、冷静に判断するべきか。
まずは『戦士』についてだ。
名前から想像するに恐らく前衛で戦う職業であり、ここに来るまで剣と盾を活用してきた俺に一番近い職業でもある。
選択肢としては比較的高いものだ。
次の『射手』については、弓等で後方から戦う者の事だろう。
これに関しては弓を使った事の無い俺が選ぶ事は絶対に無いのでパス。
次の『盗賊』、これは偵察や罠の発見等に優れている職業ではないだろうか?
恐らく戦闘自体もある程度こなせるだろうし、悪くは無い選択だろう。
次の『僧侶』についてだが、これは回復等の後方支援型の職業であると予想される。
現状一人で攻略を行っている俺からすれば回復手段はかなり欲しい。
だがそれは即座に回復でき、自身に使える場合だ。
発動までに時間がかかり、更には他者に使うタイプだった場合無用の長物と化すので、そこまでのリスクを冒してまで取るものではないのでパス。
『魔法使い』。
名前からして、魔法を使う者。
正直気持ちだけで言えば真っ先に興味を惹かれた職業だ。
この世界に無かった魔法が使えるんだ。
憧れないわけが無いだろう!
ただ、それは感情論の話だ。
理性的に判断すれば『僧侶』と同じ理由で無しだ。
即発動で攻撃できるならまだしも、詠唱が必要であればその間誰が俺を守ってくれるというんだ?
それにMPが切れれば使えなくなる魔法のみで攻略できるほど、ダンジョンは甘くないだろう。
そしてここからが問題の職業二つ。
まずは『忍者』。
想像は出来る。
出来るが、明らかに『盗賊』の上位職業という感じだろう。
想像だけで言えば『盗賊』の出来る事を更に伸ばし、尚且つ隠密性に長けた戦闘もこなせる職業といった感じだ。
で、最後の『魔法戦士』。
コイツは俺の中での一番の問題職業だ。
名前からして、『魔法使い』と『戦士』が合わさった感じなのだろう。
つまりは二つの職業を一つにしたものということ。
そう考えればコイツはかなり強い雰囲気を感じるということだ。
それに尚且つ俺がここまで行っていた戦闘スタイルでる剣と盾をメインに戦う戦い方を維持しながら、憧れである魔法を使えるというではないか。
正直悩んでは居るが、これを選ばない以外の選択肢は無いだろう。
というか、気持ち的には既にこれだと決めている。
ただ落ち着いて冷静になり、その感情論に理由をつけたかった。
そうとも言えなくもない。
けれど冷静になって考えてみても『忍者』か『魔法戦士』を選ぶべきだろうし、その二つなら俺の今の戦い方とも一致する『魔法戦士』を選ぶべきだ。
「つまりは答えは出てるってことだよな」
俺はどこか嬉しそうにそう呟きながら、画面の『魔法戦士』をタッチする。
★
『魔法戦士』でよろしかったですか?
はい/いいえ
★
俺はそう表示された画面のはいをタッチする。
『職業を選択したことにより、新たなスキルが付与されました。更に世界で初めて職業を取得したことにより、称号【先駆者】が付与されます』
俺がはいをタッチした直後、頭の中にそんな言葉が直接聞こえてきた。
俺はその言葉にすぐさまステータス画面に視線をやる。
★
名前 久遠 宗太
職業 魔法戦士
レベル 5
HP 23/23
MP 20/20
攻撃力 18
防御力 23
敏捷性 39
魔力 21
ステータスポイント 10
▼称号
【最強へと至る資格】New【先駆者】
▼スキル
[剣術 LV1][短剣術 LV1][盾術 LV1]New[格闘術 LV1]
New[火魔法 LV1]New[水魔法 LV1]New[土魔法 LV1]
New[風魔法 LV1]New[身体強化 LV1][斬撃耐性 LV3]
[刺突耐性 LV3][打撃耐性 LV3][痛覚耐性 LV3]
[精神耐性 LV3]
★
俺は余りの衝撃に目を擦りもう一度ステータス画面を確認するが、全く同じものだった。
「増えすぎだろ……スキル」
にしても魔法が使えるのか、俺。
俺はそんな事を思いながら一人笑みを浮かべる。
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