凛とはやてと過ぎ去る日々

次の日、実と凛とはやてに会いに行った。


ピンポーン


ガチャ


「いらっしゃい」


「お邪魔します」


「どうぞ」


はやてが、あげてくれた。


「台本受け取った」


「うん。受け取った」


「しんの作品凄いよね」


「こどはやのイメージぶっ壊されそうで嬉しいわ」


智天使ケルビムの曲作ってるの?」


「そう、そう。この台本もらってから詞を書き上げようと思ってさ」


「凛、元気?」


俺と実は、ソファーに座る。


「結構、大変。しんの世界観掴むの必死。」


「わかる。結構辛いよね」


「今までの作品よりも、リアルがいるでしょ?」


「リアルで、男と付き合っててよかったよ」


「わかる、わかる。そうじゃなかったら、しんの作品は演じれないわ」


「はい、お茶」


「ありがとう」


はやてが、お茶をいれてくれた。


「しんの作品に出れるのは、光栄なんだけど、演者として何を望んでるか汲み取るのが大変だよ。」


「それをみんなで考えようって話だったでしょ?」


「まずは、凛だよな。」


「この感じからして、綺麗な凛ではないよな。」


「髪の毛黒に染めて、黒縁メガネどう?」


「もう少し、人を羨んでる感じがある方がいいんじゃないかな?」


俺達は、髪型をかえたりする。


「目が見えるか見えないかギリギリがいいね」


「それ、悪くない」


「確かに、これだな」


「じゃあ、次ははやてだよな。」


「髪の毛何色にするんだっけ?」


「金のカツラか、金髪に抜く予定なんだよ。でも、次があるからカツラかも」


「わざと、アイライナー目尻にひかない?」


「ああ、何か遊び人感でてるよ」


「口紅、塗ってもらう?ピンク系」


「あー。悪くないね」


はやては、鏡を見ながら納得していた。


「次は、雄大だよな。」


「えっと、真面目な堅物だな」


「メガネは、シルバーがいいかも」


「髪の毛は、七三って感じ?」


「あえて、眉尻かいてもらったらどうかな?」


「悪くないんじゃない?」


「いいね」


そう言って、俺は笑っていた。


「最後は、実だね」


「優しい顔をキツくするのに隠しでアイライナーいるよな」


「あえて眉毛、つりあげてもらったら?」


「前髪、全あげする?」


「ああ、これいいね」


お互いに見えない部分を見つけられて楽しい。


見た目が決まれば、台本を読み合わせる。


「淡々と話すのがいいかもな、実は、ロボットじゃないけど感情ない感じ。」


「雄大は、もっと重たい感じがいいかも」


「凛は、ネチッてしてる方がいいね」


「はやては、サラッとしてる話し方。」


「何か、それ軽そうでいいね」


それぞれに、思い思いに台詞を言い回しながら役のイメージを四人で作り上げた。


元々、俺達四人は天才肌ではない。


こんな風に役を作り込んでいくタイプだった。


撮影までの一週間、四人で合わしながら役を作り込んだ。


無事に撮影が始まり、終わった。


俺達は、四人で放送を待っていた。


「後、2分」


はやての家の100インチのTVで見る。


「ワインどうぞ」


「ありがとう」


「今回の作品もよかったよね」


「本当、しんさんの感想が聞きたい。」


「放送終わったら、事務所に感想届くって聞いたよ」


「それは、励みになるよね 」


「会った事ないけど、いい人なんだろうな」


「わかる。」


俺達は、ワインをグラスに入れる



チーズやクラッカーや野菜スティックやチョコレートを並べる。


「緊張する」


「どんな風に、届くかな?」


「また、しんさん叩かれちゃうかな?」


「まあ、それでも俺達はこの作品愛してるからさ」


「そうそう」


「だから、大丈夫」


「誰かには、絶対。届くから」


「うん、届くよ」


「じゃあ、乾杯」


「乾杯」


そう言って、ワインに口をつけると始まった。

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