彩られる作品【仮】
三愛紫月
しんと優依
出会い
私は、BL作品をちまちまと投稿するのが好きだった。
これで、生計はたてられないのもわかっていた。
はずだった…。
「先生、まだですか?」
「はい」
「最近は、3人ものの、BL作品が流行ってるんですよ。だから、ちょっとエロ多めでお願いします。」
私の名前は、
そして、先程の電話の相手は
優衣と名だが、彼は男だ。
優衣は、投稿されたBL小説を全て拝読したと私に話した。
【お会いしたいのですが、よろしいでしょうか?】
と、突然メッセージがやってきた。
出会い系サイトではない、こちらはれっきとした小説を投稿するサイトだ。
私は、無理だと返事を返した。
数日後、運営サイトを通してメッセージがやってきた。
私は、林優衣に会った。
「すみません。私、こういうものです。」
「ドラマ作ってらっしゃるのですね」
「はい」
優衣は、ニコニコ笑った。
「で、何の用でしょうか?」
「しんさんの作品が一番よかったんです。小説投稿サイトのBLものを全部読んだのですが…。しんさんの作品が、一番エロくて切なくて好きです。」
「えっと」
「お願いします。一度だけ、脚本を書いてみてもらえませんか?」
とにかく必死に頭を下げられて、私は脚本を書いた。
「やっぱりでしたね」
視聴率がよかったと優衣に褒めてもらえた。
そして、いくつも書かせていただき、今日5作品目になるスペシャルドラマの話がやってきたのだ。
ピンポーン
「はい」
「開けて」
ガチャ
「優衣、鍵は?」
「鞄かえたから」
私と優衣は、いつの間にか付き合ったのは、優衣のせいだった。
「3Pものとかできました?」
「いや、ドラマではさすがに無理でしょう」
優衣は、出会って半年後に私をとある店に連れてきたのだ。
そこで、私に勉強をするべきだと話した。
「3Pを実際に見てみるべきですよね」
「あの、おっしゃっている意味がわかりません」
私の崇拝している、BL漫画の
「いや、えっと」
「勉強です」
そう言われて、男同士の交わりを見せられた。
しかも、三人だ。
この変に高ぶった気持ちを処理出来ずに帰宅していた腕を優衣に引っ張られた。
「うち、そこなんです」
そう言われて、優衣のアパートに連れていかれたのだ。
42歳にして、初めて、男の人を抱いた。
「えーー。初めて何ですか!?あんなに、BLを書いているからそっちだと思ってしまいました。ごめんなさい。」
5歳年下の、優衣にずっと頭を下げられていた。
私は、優衣に全てを話した。
優衣は、泣きながらその全てを理解してくれた。
私の
今から15年前、私は結婚した。
妻と離婚したのは、ちょうど3年前で、その頃からBL小説を投稿しだしたのだった。
離婚原因は、ありきたりだけれど子供が出来なかったからだ。
お互いが、原因だった。
私も彼女も言わば、欠陥品ってやつだとお互いに笑いながら泣いた。
一緒にいるのが、苦痛になった。
抱き合うのが、苦痛になった。
だって、欲しいのは二人の子供でそれ以外は望まなかったんだ。
二年前、彼女からメッセージがやってきた。
私達は、円満離婚だった。
彼女に、彼女が出来た。
私は、それを喜んだ。
私と彼女の関係は、親友になったのだ。
小説を読んでくれていた彼女は、
「しんの願いが叶うなら、私達の話も
私は、あの時の痛みや苦しみを男同士に置き換えて
思ったより、反響がよくて嬉しかった。
自分を削って、描いた作品がこんなに愛されて、羽ばたいていく事が嬉しくて堪らない。
だから、今回の作品もそうなる。
「しん、ボッーとしてないでよ」
「ごめん」
優衣に言われて、優衣の顔を見た。
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