鎧の騎士の間近に迫っている。早く逃げないといけない。でもそれは僕ひとりでというわけじゃない。


 タックさんと一緒に逃げるんだ。絶対に見捨てない。


 僕は全身の痛みと疲労に耐えながら、足を前へ踏み出す。こんな調子で鎧の騎士から逃げ切れる可能性はゼロに近いけど、それでも諦めるもんか。


 するとそんな僕を見かねたのか、タックさんが眉を曇らせて狼狽える。


「もういい、アレス! オイラを見捨ててお前だけでも……」


「嫌だぁあああぁっ! 絶対に一緒に逃げるんだぁあああぁっ!」


 思わず僕は叫んでいた。するとちょっとだけ全身に力と気力が戻ったような気がして、さらに何歩か前へと足が動く。これが火事場の馬鹿力というヤツだろうか。



 →20へ

https://kakuyomu.jp/works/16817139556074419647/episodes/16817139556075406768

 

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