第256話 邪神の加護とは

「大陸の外!?・・・この大陸を救いに来ただと?」


「はい。先にエルフの集落に行ったんですが、そこで世界樹の恵みが少なくなっている事を聞きました。それを調べる為に世界樹に行ったのです。そこであなたに会ったんですが、あなたは世界樹の恵みが少なくなっている事を知っていそうだったので、ダークエルフにも話をしようと思ってきたんです。あっこっちはエルフのサラサです。」


ダークエルフの集落についたクリフは、この大陸に来た理由を説明した。もちろん邪神の加護を持っているダークエルフに対して、アイリーンの事は伏せてだ。


「ちょっと待て。長に聞いてくる。そこで待っていてくれ。」


「わかりました。」


「どうやら話のわかるダークエルフ見たいね。」


「そうだね。まあダークエルフ側も世界樹をどうにかしたいと思ってるんじゃないかな?」


「そうかもしれないわね。でもそれで世界樹の実を独占されちゃ私達が生きていけないわ。」


クリフとサラサは長に話に行ったダークエルフが戻ってくるのを待っていた。


そして・・・


「長が話しを聞くそうだ。案内しよう。おっと言ってなかったな、私はライシャだ。よろしくな。」


(ライシャね。褐色肌にスタイルが良いな。サラサなんかはスレンダーで板みたいな胸だけどライシャは出るところは出ている。その辺がエルフとダークエルフの差なのかな??後はラノベイメージならエルフは弓が強いけどダークエルフは魔法が強い。みたいな感じかな?まあその辺はおいおい聞いて行けばいいか。)


クリフとサラサはダークエルフのライシャについて行きダークエルフの集落の中を進んで行った。


「ダークエルフもけっこうな人数がいるんだね。ここ以外にも集落があるの?」


「いや主な集落はここだけだ。他の場所で生活している者もいるが少数だ。」


(ふ~ん。ここ以外にもダークエルフがいるんだ。エルフの時とは違うな。だから門番がいるのかな?)


「ここだ。大丈夫だとは思うが変な事を言わない様にな。」


「わかってるよ。ここには話を聞きに来ただけだから。」


クリフとサラサはライシャとともにダークエルフの長の家へと入った。家自体はエルフの集落と同じような感じだった。


「長。連れて来たぞ。」


「うむ。ソヤツらか。大陸の外から来たというのは。」


「はい。クリフと言います。ある方から依頼がありましてこの大陸の世界樹を救いに来ました。」


「ある方?それは誰だ?」


「今は言えません。年々世界樹の実が減ってきて世界樹に異変が起きているのは聞きました。俺はそれをどうにかしたい。」


「あれはどうにもできん。もはや世界樹が枯れるのを我々は待つしかないのじゃ。」


「あなたは何か知っているのですか?」


「うむ・・・じゃがそれはよそ者のお主に話すような事ではない。」


「長よ。多分だがクリフは女神アイリーン様から依頼を受けたのではなかろうか?この大陸は普通では入る事もできない場所だ。この大陸に外から人が来る事といい、エルフが一緒にいる事といい、私はそんな気がするのだが。」


「なんと!?アイリーン様が・・・それは本当か?」


(あれ?ダークエルフ達はアイリーン様の加護を捨てて邪神の加護を得たんじゃなかったっけ?ならなんでアイリーン様って様付けなんだ?この辺は詳しく聞く必要がありそうだな。)


クリフはサラサの方を向き、頷いてから話始めた。


「ライシャの言う通り俺は女神アイリーン様から世界樹を救ってほしいと言われました。この大陸に来たのもアイリーン様の力です。」


「まさか!?そんな事が・・・アイリーン様は我らを見捨てたのではなかったのか・・・」


「どういう事ですか?」


「そうじゃの。クリフ殿と言ったかの。我々の事はアイリーン様やエルフ達からどのように聞いておる?」


「アイリーン様からは何も。エルフの集落では、アイリーン様の加護を捨てて、邪神の加護を得たと。」


「なるほどのぉ。クリフ殿にはなぜ今世界樹があのような事になっているか話してもよいかもしれぬな。」


(どういう事だ?邪神は関係ないのか?)


「そもそもの話はクリフ殿が言った事から始まるのじゃ。この大陸で世界樹が生まれた時、その守護種族としてエルフが生まれた。始めはこの大陸にはエルフしかいなかったのじゃ。そこに邪神と名乗るモノが現れた。クリフ殿はアイリーン様を見た事があるじゃろう。あの方はそれはそれはキレイじゃったろう?」


「そうですね。女神という名が当てはまる女性でしたね。」


「そうじゃろう。エルフの女はアイリーン様とは姿形が違った。簡単に言うとアイリーン様程胸がなかったのじゃ。」


「はっ??」


「あれはそういつだったか邪神が1人の女エルフをそそのかしての。アイリーン様の加護を捨てて邪神の加護を得ればアイリーン様のようなスタイルにしてやる。と。」


(マジか~。話が見えたぞ。アイリーン様のスタイルになりたくてエルフの女性の一部が邪神の加護を得て貧乳から巨乳になった。その巨乳目当てに男もアイリーン様の加護を捨てて邪神の加護を得たって事か。)


「それでここにいるダークエルフの女性はみんな巨乳なんですね。」


「そうじゃ。今思えば浅はかな考えだったのかもしれん。」


「それが世界樹とどうつながるんですか?」


「我々はアイリーン様の加護を捨てて邪神の加護を得た訳じゃが世界樹を捨てた訳ではない。邪神も世界樹を信仰するのはかまわないと言っておったからのぉ。じゃが世界樹の実を邪神に捧げるようになったのじゃ。」


「世界樹の実を邪神に捧げる?」


「そうじゃ。邪神には毎年大量の世界樹の実を捧げてきた。それが契約じゃったからな。じゃが最近になってそれが呪いじゃと気づいたのじゃ。邪神に捧げた世界樹の実は翌年から世界樹に実を付けなくなる。そうして年々世界樹の実は数を減らしてきたのじゃ。我々も世界樹は毎年大量の実を付けるから始めは気づかなかったし、気づいても世界樹からの実が少なくなっても問題は無いと思っていた。」


(なるほど。邪神によって年々世界樹が被害を受けていたって事か。)


「なら邪神に世界樹の実を捧げるのをやめればいいんじゃないですか?」


「それが・・・」


「実を捧げないと我々が滅ぶのよ。」


そう声を上げたのは同じように話を聞いていたライシャだった。






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