第229話 クリフ・エターレイン誕生!

家名も無事に決まり、叙爵の式典もそつなくこなしたクリフ達は、休む間もなく、全員で新しくエターレインと名を変えた町へと来ていた。


「ここに住むんですね・・・」


「クリフさん・・・さすがにこれは・・・」


「クリフ・・・やりすぎ」


「クリフならやりすぎると思ってたわ。」


「クリフ君すごーい。」


「ふふふ。皆がほめておるぞマスター。頑張ったかいがあったな。」


「「「「いやいや褒めてないって!」」」」


セリーヌ、ユーナ、ナリア、ジャンヌ、ソフィアが目の前に見えるお城に驚き、突っ込みを入れていた。


(しっかりちゃんと驚いてくれたな。できれば国でも作るの?って突っ込んでほしかった所だけどまあそこまで求めるのは無理か。でもまあ久々に異世界テンプレ領主邸をお城に。ができたし、城も満足行くものが作れたからよしとするか。)


クリフは、家名を考えるのと並行で、一人新しい領地に来ては領主邸の建築を進めていた。家名がなかなか決まらないストレスを発散する為に、ひたすら豪華な領主邸を作っていき、気づけばサリマン城やテキサス城よりも大きな城が出来上がっていた。


建築の知識などまるでなかったクリフだが、何度も見たサリマン城とテキサス城、それに前世の記憶を頼りに創造魔法と土魔法を合体させて、大量の魔力とMPを注ぎ込んで1カ月かけて作り上げた。クリフ一人ではなく、グランもクリフを手伝ったので2人の力作だった。


「外装だけじゃなく、内装も頑張ったんだよ。案内するね。」クリフとグランが先頭を歩き、セリーヌ達が後について行く。


(内装だけじゃなく、中に入ったらいきなり驚くだろうな~。俺も初めて見た時はビックリしたし・・・)


クリフが扉を開けると・・・


「「お帰りなさいませご主人様。」」

「「「「「お帰りなさいませご主人様」」」」」


そこにはスイムとクイン、そして10名のメイドが居たのだった。


「「「「「!?」」」」」


「クリフ様・・・これは?」


「この広い屋敷でスイムとクインだけじゃ大変だからね。とりあえずメイドを用意してみました。」


(城に見えるかもしれないけど、屋敷だからね。城って言っちゃうと謀反だと思われちゃうから。誰がなんと言おうと屋敷だから。屋敷って言ってよ。城はアウトだから。)


「用意してみましたって・・・それにみんな同じ顔してるわ。」


「はい。髪の色はそれぞれ違いますが顔は同じです。なんとなくグランに似てる気がしますが・・・」


「さすがユーナじゃ。よくわかったな。これは我の眷属達だ。マスターに頼まれて召喚させてもらったんじゃ。」


「さすがに執事とか料理人とかはまだだけどグランがメイドは用意できるって言ってくれたからね。セリーヌ達のお世話役とかも必要だと思ってね。一応髪の色をベースに名前を付けてるからセリーヌ達も覚えてね。」


グランが召喚したスライム達は全員人化しており、スイムやクインよりもメイドっぽかった。スイムとクインは小学生並みの身長の為、メイドというよりもお手伝いさんみたいな感じだ。それに対し、スライムメイド達は大人の女性を思わせる体格になっている。


レッド、ブルー、グリーン、イエロー、パープル、ブラウン、ブラック、ピンク、オレンジ、ホワイトの10名だ。種族はグランと同じグラトニースライムなので、正直かなり強い。戦闘もできる戦闘メイドの誕生である。


屋敷に入ると、それぞれが屋敷の中を確認する。ゆったりとした個室は20以上あり、セリーヌ達婚約者の個室とクリフの執務室と寝室。ちなみにクリフの寝室は一度に5名以上は寝れるだろう大きなベットが置かれていた。更に、豪華なお風呂にキッチンにダイニング、会議室に地下には訓練場まで完備されていた。


「クリフさん・・・この屋敷、豪華すぎますね。」


「クリフ君。部屋がいっぱいあるけど、まだまだ婚約者が増えるのを見越してるのかな?」


「いやいやソフィアそういう訳じゃないよ。」


(テンプレ突っ込みありがとうございます。でもこれ以上はもうお腹いっぱいです。ハーレムは5人で十分です。それに・・・その発言はフラグだよ。)


一通り屋敷を確認した後、クリフ達は会議室に移動して今後の事を話しあった。


「これからこのメンバーが中心となって、エターレイン領を発展させていきます。つきましては役割分担をしていきます。」


「役割分担?」


「はい。私達がメインとなって動きますが、私達もずっと動けるわけではありません。貴族の務めもありますから。」


(ああ子作りだね。たしかにいきなり全員妊娠した。とかなったら領の運営できないもんな。納得だ。)


「教会関係は私にまかせてください。アスカも来てくれるので2人でなんとかして見せます。」


「ユーナはそれがいいわね。私はどうしようかしら?グランと一緒に軍備関係でも強化しようかしら?」


「ナリアとグランはそれがいいですね。私とジャンヌ、ソフィアで他の内政部分は請け負います。その為に学校で色々学んできましたから。」


「え~っと俺は何をすれば・・・」


「クリフ様は好きにしてください。やりたい事を示してくれれば私達がサポートします。」


(まじか!?でもそれって遠まわしに役立たずって事じゃ・・・)


こうして、クリフ・エターレインが誕生した。結婚式までは後9カ月。それまでに領の発展の方向性や、結婚式の準備を行う事を話し合うのだった。



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