第185話 次の目的地は・・・・帝国だ‼

「セリーヌよ。今日クリフ君に会ったら王城に来るように伝えてくれんか?」


「それはかまいませんが、お父様。何かあったのですか」


「実はな・・・」


マテウスはセリーヌに帝国から手紙が届き、帝国が魔族に襲われた事。被害はなかったが今後も襲撃の可能性がある事。クリフを呼んでいる事をセリーヌに伝えた。


「!?それは本当ですか!帝国は大丈夫なんですか?」


「ああ。手紙には魔族の襲撃はあったが撃退した。とあった。だがこの手紙は1週間前に書かれたモノだ。今はどうなってるかわからん。」


「でしたら急いでクリフ様に知らせてきます。」


「いや・・・すぐじゃなくて大丈夫だ。こちらも準備が整っておらん。クリフ君なら転移で帝国にも一瞬で行けるだろ?とりあえず、今日クリフ君に会ったらこの事を伝えて王城に来てもらってくれ。そうだな。儂も夕方頃には手が空いてるからそのぐらいに来てくれると助かる。」


「わかりました。クリフ様に伝えてきます。丁度今日、クリフ様と旅の計画の話をする予定だったんです。どうやら次の目的地は帝国になりそうですね。」


「セリーヌよ・・・。クリフ君は勇者でとても強い。だがお前は・・・」


「お父様。私はクリフ様の婚約者です。そして、守られるのではなく、クリフ様の隣に立って支えていくと決めました。お父様がなんと言おうと私も帝国に行きます。」


「・・・わかった。強くなったな。セリーヌ。」


「はい。クリフ様のお陰です。」


「わかった。この話はクリフ君が来てから続きをする事にしよう。儂も夕方までには準備をしておく。」


「わかりました。」


セリーヌはマテウスとの話を終えて、クリフの家へと向かって行った。


「旅の話をするタイミングで、こんな事になるなんて。ユーナの時もたしか同じように旅の目的地を決める時にSOSが届いたんでしたっけ。なんというタイミングなんでしょう・・・」


クリフの家に着いたセリーヌはスイムに案内されて、クリフの家のダイニングへ足を運ぶ。そこにはすでにジャンヌとソフィアもいた。


「セリーヌおはよう。」


「おはようございます。クリフ様。ジャンヌもソフィアもすいません。またせてしまって。」


「大丈夫だよ~。私も今来たところだから。」


「そうね。私もさっきついたばかりよ。」


「これで揃ったね。それじゃ昨日念話で伝えたと思うけど、そろそろ旅に出ようと思うんだ。それでどこに行こうかを話し合おうと思ってね。」


「クリフ様。その話なんですが・・・。」


セリーヌは先ほど、マテウスから聞いた話をクリフ達に話す。


「それって・・・」


(来たよ。定番のテンプレ。聖国の次は帝国か・・・。そして最近動いていなかった魔族が動き出した。これはもう行くしかないだろ。ていうか行く選択オンリーだな。)


「はい。お父様が夕方までに色々準備をしておく。と言ってました。なので一緒に王城に来てほしいのです。」


「クリフ。次の目的地は帝国に決まりね。」


「そうだね。」


「クリフ君。ナリアちゃんと会うの久しぶりだね。」


(ナリアか・・・。たしかに3大国交流戦の時から会っていないな・・・。)


「それで、聖国の時と同じように帝国が危ないって事だけど、セリーヌ達は一緒に来るんだよね?」


「もちろんです。」


「聞かなくてもわかるでしょ。」


「あたりまえだよ~。」


「わかったよ。でもせっかく旅するならもっとゆっくり色々見たかったけどな。前回の聖国に続いて帝国でも問題が起きてるって・・・。」


「しょうがないわよ。クリフは勇者なんだから。王国だけじゃなくて、帝国や聖国、それに他の国の問題も解決して上げないと。魔族が絡んでるならなおさらよ。」


「まあそれはそうなんだけど・・・。」


「クリフ様。帝国の問題が解決したら、ゆっくり見て回ればいいと思いますわ。」


「そうだね。うん。セリーヌの言う通りだ。じゃあ夕方まで時間もないから僕達も準備しようか。」


次の目的地を決める話合いはセリーヌの一声で一瞬で目的地が決まった。マテウス王に会う為にクリフ達は時間ギリギリまで準備をして、王城に向かう。


もちろん、ジャンヌとソフィア、グランにスイムにクインも一緒だ。


転移で行くのは簡単だが、王城に転移で現れるのは周りをビックリさせるためクリフ達は馬車で王城に向かった。


「陛下。お久しぶりです。」


「うむ。クリフも元気そうでなによりじゃ。早速じゃが奥で話そうか。」


クリフ達は奥の部屋に行き、席に着く。クリフ達が全員椅子に座り、王族側はマテウスとリッキーがいた。


「リッキー殿下お久しぶりです。」


「クリフ君。久しぶりだね。それとここでは僕達しかいないから義兄さんと呼んでくれてかまわないよ。」


「それは・・・」


「そうじゃな。儂の事も義父さんと呼んでくれてよいぞ。」


「陛下・・・」


「もうお父様。そんな事よりも帝国の事ですわ。」


「おおそうじゃったな。」


そして、クリフ達は帝国に行く段取りを詰めていった。そして翌日・・・


「それじゃクリフ頼んだぞ。」


「はい。勇者としての役目を果たしてきます。」


「セリーヌも気を付けるんじゃぞ。」


「もちろんです。お父様。私も王国の王族として、しっかりと役目を果たしてきます。」


そうして、クリフ達は帝国の帝都に転移していくのだった。

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