第179話 聖なる塔に侵入しよう!!

「やったわねクリフ!」


「うん。こんなにうまくいくとは思わなかったけどね。」


「それじゃこれを教皇にたたきつけてやりましょう!!」


「ジャンヌ。この証拠だけじゃまだ弱いよ。これを出した所でカイロンとケイロンが消されるだけで枢機卿投票には又別のグローヌ教皇側の人間が出てくるだけだと思う。」


「そんな!?じゃあどうするの?」


「一応、これは決定的な証拠になるから、イマデア枢機卿にも渡しておこうと思う。その為に何枚も写真はとってあるから。それと3日間聖なる塔を見張っていてあそこはあまり人の出入りがないみたいだ。」


「それって中に人はいないって事?」


「それは入ってみないとわからない。だけど、その可能性もあると思う。聖なる塔の中でずっといるか、聖斗にはもういないかの、どちらかだろうね。だから僕は一度聖なる塔の中に入ってみようと思う。もしかしたら他の証拠も見つかるかもしれないしね。」


「それは・・・クリフ様。それは危なくないですか?」


「そうかもしれない。だけど僕なら危なくなったら転移で逃げる事もできるからね。」


(まあ聖なる塔の中が転移できない可能性っていうのもあるけど、それを言うと入らせてもらえないかもしれないから言わないけど。)


「でもどうやって入るのですか?入口には門番がずっと立ってるんですよね?」


「そこなんだよね~。どうやって入るかはまだ決まってないんだ。」


「塔の入り口以外に入れる所はなかったんですか?例えば秘密の抜け道みたいにどこかにつながってる出入口があるとか?」


「その可能性も考えて、塀の外側とかも調べてみたんだけど、それらしいものはなかったよ。」


「なら、イマデア枢機卿に相談したらどうかしら?ちょうど証拠の写真も渡さないといけないし。」


「そうだね。そうしようか。もしかしたら良い案をだしてくれるかもしれない。」


そして、クリフ達はイマデア枢機卿にコンタクトを取り、前回と同様、フロッグ亭で会談を行った。


もう、クリフ達が聖斗で色々嗅ぎまわってる事は教皇側も把握してるだろう。と思い今回は全員でフロッグ亭にやってきていた。


会談が始まるとクリフは証拠の写真を渡し、聖なる塔へ入る事を伝えた。


「この証拠は我々が欲していたものだ。感謝する。単純にこの証拠を投票の時に出せあカイロンとケイロンは枢機卿になれないだろう。逆に私がそのまま枢機卿を継続できると思う。ありがとう。」


「いえ。でもまだユーナを助け出せていませんし、この証拠だけじゃ、グローヌを教皇から失脚させる事は出来ないと思います。」


「そうだな・・・ふむ・・・。クリフ君。私がその門番二人を入口から遠ざけよう。」


「本当ですか!?そんな事可能なんですか?」


「ああ。長時間は無理だろうが少しの間だけなら可能だと思う。」


イマデア枢機卿は作戦を話した。


「たしかにそれならいけるかもしれません。」


「では明日早速行動を開始するとしよう。クリフ君。くれぐれも気を付けてくれよ。君に何かあったらユーナに合わせる顔がないからな。」


「わかってます。」



イマデア枢機卿と会談を行った翌日、イマデア枢機卿は一人、大聖堂に向かっていた。正確にはインビジブルで姿を消したクリフが横にいるのだが。


イマデア枢機卿は小さな声でクリフに話しかける。


「クリフ君。昨日も言ったが、門番を入口から遠ざけれるのはせいぜい5分前後ぐらいだ。大丈夫か?」


「はい。それだけあれば鍵を開けて中に入るには十分です。」


イマデア枢機卿は大聖堂の裏に回り、聖なる塔の門番に話しかける。


「君たち!!今私の所に聖なる塔に何者かが侵入した。と報告があった。君たちは何をしていたんだ!!」


イマデア枢機卿は門番を怒鳴る。


「イマデア枢機卿!?いえ私達はずっとここにいましたので誰も中には入っておりません。」


「では私がうそを言っているというのかね?」


「それは・・・」


「お前たちじゃ話にならん。中を直接確かめる。お前たちは教皇にこの事を伝えてこい!!」


「しかし・・・」


「いいから早く行け!!何かあったらお前たちの首が飛ぶぞ!」


「「!?はい!!わかりました。」」


二人の門番は急いで教皇の元に走っていった。


「どうだね?うまくいっただろう。」


「ありがとうございます。イマデア枢機卿さすがの演技でしたね。」


「そうだろそうだろ。さあ早く行ってくれ。急がないと教皇を連れて門番が戻ってくる。」


クリフはグランから預かったカギを取り出して入口のカギを開ける。


「やっぱりグランの持ってきたカギはここのカギだったんだな。イマデア枢機卿。それでは行ってきます。」


「ああ。気をつけてな。無事戻ってきたら知らせてくれ。」


「わかりました。」


クリフは中に入り、扉を閉めて、内側からカギを掛けた。


「頼んだぞ・・・クリフ君。」


そうして、クリフは無事に聖なる塔への侵入を果たしたのだった。


しばらくして、教皇を引き連れて門番が戻ってきたが、教皇も中を見られたくないのだろう。イマデア枢機卿が中を確認した方が良い。と何度も言ったが、カギを持ってるから大丈夫だ。の一点張りだった。


今回に限り、中に入られると困るのはイマデア枢機卿の方だったが、イマデア枢機卿の作戦が見事にはまったのだった。

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