第165話 ルルド到着!・・・暗殺者は??

聖国に入国してから、聖国の騎士10名に護衛されて聖都を目指しているクリフ達。道中騎士達の企みを事前に潰したので、アクシデントが起こる事もなかった。


もちろん道中、何度か魔物に襲われた。岩場で襲われた時以外は騎士が積極的に魔物を狩っていたが、岩場で襲われた時は魔物に向かわずにクリフ達から離れて行ったのだ。


もちろん、騎士達が離れて行ったからと行って、頭上から岩が落ちてくることはない。更にクリフとグランを筆頭にセリーヌ達も相当鍛えられているので、襲ってくる魔物など、一瞬で返り討ちだった。


魔物が倒された後、騎士達が上を見上げたり、不思議な顔をして戻ってきていたのは思い出しても笑えたのだった。


騎士達は納得いかない顔だったが、そのままクリフ達の護衛をして進む事3日。一行は無事にルルドの街に着くのだった。


「クリフ様。無事ルルドの街に着きましたね。」

「うん。岩場で急に離れて行く。っていうおかしな行動をとってたから、その後は怪しまれない様に騎士の人達もなんだかんだで僕達の護衛してたしね。」


「クリフの言う通り、あの時以外はおかしな行動してないものね。」

「うん。岩場にいた騎士達とは連絡を取ってたみたいだけど、あの岩場で僕達を仕留めるみたいだったから、他の策は用意していなかったみたいだよ。」


「でも大丈夫なの?またどこかで襲う計画を立ててるんじゃ?」

「多分立ててるだろうね。岩場の上には10人ぐらい騎士がいたからね。その騎士達はどこか別の場所に移動してると思うよ。又僕達を待ち伏せしてるのか、聖都にもどったのかはわからないけど。」


「マスターよ。やはり殺しておくべきだったのではないか?生かしておいたせいで、又襲われるかもしれんのじゃぞ?」

「わかってるよ。でも僕は勇者になった時に決めた事があるんだ。人をなるべく殺さずに解決しようって。」


「マスターよ。それは・・・甘いんじゃないかのぉ?」

「グランの言う事もわかるよ。でも僕は決めたんだ。あの騎士達だって家族がいるだろうし、死ねば悲しむ人もいる。僕が甘いだけっていうのも、それによって自分や周りが危なくなるかもしれないっていうのもわかってる。それでも、僕は人を極力殺さず解決できる。そんな勇者を目指したいんだ。」


「クリフ様・・・」

(まあ実際はパインや悪落ちした勇者達みたいになりたくないから逃げてるだけかもしれないけど・・・賢くない頭で考えて、人を殺さなかったら恨まれる事もないっしょ。って単純な考えが今の所正直な所だけど・・・)


「だから、何度襲ってきても僕がみんなを守るから安心して。その為に僕も力を付けたんだから。」

クリフはみんなに安心するように伝えた。

「わかったわ。クリフ!頼りにしてるわ。」


ルルドの街についたクリフ達は、宿を取った。

夜営ではなく、久しぶりにベットで寝れる事にセリーヌ達は喜んだ。


ちなみに、ルルドに着くまでの夜営では念のため、クリフが持っていた豪華なコテージは使わなかった。


「クリフ様?ベットで寝れるのはうれしいのですが、以前騎士達が言ってた暗殺者の事を考えると、今日あたり襲ってくるのではないでしょうか?」

「その可能性はあると思う。でも安心して!部屋全体に結界魔法を張っておくから夜暗殺者が来ても部屋には入れないと思うから。」


「そうじゃな。マスターの結界魔法なら破る事はできんじゃろ?それに我も探知の距離を広げておくからセリーヌ達は安心して休んで良いぞ。」

「グラン・・・ありがとう。」

「うむ。マスターががんばっておるんじゃ。我も多少は力を使わんとな。」


(今日僕達がルルドにいる事はルルドの街にいる人達にもすでに伝わっているだろう。という事は今日の晩に何かある可能性が高い。僕もグランと同様探査魔法の距離を広げて警戒しよう。)


その夜、クリフの予想通り、探査魔法にいきなり反応があった。

「グラン!反応があった。やっぱり襲撃するつもりだったね。」

「うむ・・・5人程こちらにむかっておるのぉ。どうする?」


「宿屋を破壊されても困るからね。こっちから出迎えるよ。」

「殺さないんじゃろ?」

「うん。どうなるかわからないけど、敵だったら捕まえて護衛の騎士にでも突き出そうかな。」


「まあ騎士もグルじゃろうからあまり効果はないがのぉ。」

「たしかにね。でも僕達が騎士を疑ってないってアピールにはなるでしょ。」

「まあのぉ。」

「じゃあそれで決まり。僕が対処してくるからグランは宿屋をお願い。」

「まかされたのじゃ。」


クリフは反応のあった5人の所に向かった。

「そこに隠れているのはわかってるよ。」


クリフがそう言うと、黒装束に身を纏った人が5人姿を現した。

「我らに気付くとは。そこそこはやるようだな。」

「その姿は暗殺者って所かな?狙いは僕達王国の人間?で会ってるかな?」


「どうかな?だが、我らの姿を見たものを生かしてはおけん!」

黒装束の5人は一斉にクリフに襲い掛かる。


だが・・・

「遅いよ!!」

クリフは襲ってきた5人をそれぞれ手刀で気絶させていく。


「がはっ。」「何!?」「うっ!」

反撃する機会もなく、暗殺者達は5人ともその場に倒れた。


「暗殺者と言っても大した事なかったね。」

その後、クリフは暗殺者を縄で縛り、他に同じような者がいないか辺りを警戒するが、5人以外にはいなかった。


「この暗殺者達は明日にでも騎士に突き出すとして、さて・・・騎士達はどんな反応するかな??。とりあえずこれで僕達を襲わないようになってくれると楽なんだけど・・・」


そんな事をつぶやきながらクリフは宿屋に戻るのだった。

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