AV新法について(これが現実かと)

工藤千尋(一八九三~一九六二 仏)

第1話実際の問題点は

今回、実際に長くプロダクションの代表をされている方とお茶する機会がありまして。取材とはちょっと違いますね。物語を書くにあたって多くの方が『ブレーン』的(専門的知識を持つマイノリティな方)な人間関係を多かれ少なかれお持ちかと思います。そんな感じですね。ギブアンドテイクな関係ですが「何かネタや世に発信したいこと」を聞いていてこの話題になりました。ネットの情報を見て「ん?それは間違ってるんじゃあ…(曖昧になっていると同義です)」と思うことなどを書きます。


まず「AV」について意外と知られていないことを書きます。基本的なことも書きますので「そんなの知ってるから」ってこともそこは読み手の知識と判断に委ねます。


この業界に『出演強要』はありません(断言します)。ただ、後から『女性の気が変わる』はあります。百本以上出演されてるベテランが『気が変わった』と言う人、言わされる人が昔はいたのです。


仕組みとしてプロダクションが求人などを出し、それを見た女性が応募します。求人も昔と違いかなり間口も広くと、『ライン』、『メール』、『電話』と24時間体制で対応されてるところが多いです。風俗店などでしたらお店のホームページを見ればどんなことをするのか理解するのも早いのですがプロダクションだとそれがありませんので初めての方はピンとこないと思います。そのためにプロダクションも分かりやすいホームページを作り、どういったことをするかを詳しく表記してます。ちなみにハードルが低いのがチャットレディや撮影会などのモデルですね。そしてギャラが高額なのがAVになります。女優さんは基本的にプロダクションに所属します。メーカー専属もすぐに移籍しますし多くのメーカーから作品を出されてる方も多いです。一部の大手メーカー専属女優さんはそこでしか出演しないです。そしてプロダクションがメーカーに売り込みます。宣材写真にはだいたい


・生年月日


・身長やスリーサイズ、靴のサイズ


・出身地や血液型、趣味や特技、そして年齢確認は何で行ったか、NGプレイなど


もちろん写真も貼ってます。全身と上半身アップの二枚が多いと思います。


メーカーによっては一作品撮りや一契約で三作品までは撮影を約束しますよってところもあります。その辺はプロダクションのマネージャーさんの仕事です。条件のいいように売り込み、安心して稼げるようにとプライベートまでしっかりとフォローします。ちなみに業界にはジンクスがありまして〇〇、○○、〇〇の三つのメーカーのどれかからデビューしたら売れるというのが昔からありました。


メーカーと契約(撮影)が決まって実際にその作品が世に出るまで、早いところで三か月(イニシャルでSとかがそうですね)、大体四か月ってところ(イニシャルでMとかです)が多いそうです。そしてレンタルショップに並ぶのは発売から半年後が基本です。


なので新法の


・契約から一か月後は撮影禁止


・撮影から四か月は公表禁止


は、今回の問題の本質や現状を考えた場合、あまり影響はないと思います。


今回『メーカーさんにお金が入ってくるのに時間がかかるのでは?』との意見を目にしましたが、それは発売まで三か月や四か月が普通だったのであまり問題ではないと思われます。その辺の金銭はむしろプロダクションの負担部分が大きかったのが現実です。女優さんのギャラですがメーカーから支払われるのはすぐってわけではありません。『プロダクションがメーカーから支払われるまで立て替えて女優さんに払っている』が現実です(私の知りうる限りですが。常識のようですね)。なので大手プロダクションは体力がありますが大手ではないプロダクションは大変です。それでも何とか女優さんファーストで考え、立て替えて払っているのです。


結論を書きますと『今騒がれていることはそんなに問題ではない』です。では何が大問題なのか?


それは


『いつでも後出しじゃんけんが出来るようになってしまった』です。


契約して一年(施行後は二年です)経つ前に「やっぱりあの契約なかったことにしてください。作品回収してください」と女優さんが言えばそれがまかり通ってしまうのです。それが大問題なのです。


今回の『AV新法』では


・契約して一年(施行後は二年)以内に契約の無効を主張すればどんなに正当な契約書だろうと反故に出来る


・年齢は若い女優さんだろうと高齢の熟女さんだろうと同じ主張が出来る


・(これが大問題)いくら契約書を反故にしようとそれまでに得たギャラは返さなくていい(一円も返還しなくていい)。そしてメーカーは作品を全力で回収しなければならない。オムニバスものや複数もの総集編もの、そういった複数、多数の女優さんが出演されている作品もその出演者の一人でも意義を唱えると回収しなければなりません。当然支払ったギャラは一円も回収出来ません。これが何を意味するか。当然『確信犯』的なケースも多く出てくると思います。



七月の撮影はすべてストップされると聞いてます。こういう問題は大体団体のバックにいる政治家や企業が問題解決に動くのですが。AVの団体ってどこ?と考えるとファ〇ザ(D〇M)じゃない?と頭に浮かぶと思います。当然、その声は業界でも出ました。でもあそこってAV以外でも儲けてますので(むしろメインの収入は他にたくさんあります)。これって二次元の同人とか十八禁ゲームとかも遅かれ早かれだと思います。エロに関する表現の自由に声を大きくする政治家っていませんからね。


また今回の『AV新法』は抜け道だらけだとも思います。


「じゃあすぐに回収できるようにDVDの販売は一年後(施行後は二年後)にしてそれまではレンタルや動画配信(ストリーミング)に力を入れればいいのでは。ギャラは手形とかにして」


ですね。


でもギャラや金銭の問題は根本的に解決しないんです。本当にプロ意識を持って頑張ってくれている多くの女優さんや男優さん、メーカーさん、プロダクションの皆さん、業界に携わる方々がほんの一握りの「確信犯的(最初から作品回収、ギャラ目的)」の方が出てくる可能性に振り回されていると思います(すでに七月の撮影予定がすべてキャンセルです。『AV新法』のためだけで)。


今後どうなるか。


「日本の決まりの縛りを受けない海外に拠点を移す」


との考えに辿り着くと思います。


でも海外だとモザイクなしになります。そっちの方が問題でしょうし、女優さんや男優さんは大変だと思います。日本のAVはモザイクを補うためにものすごい工夫を重ねてきました。その結果が日本のAVは世界一だという評価だと思います。企画力も天才的発想が多い業界ですからね。


この続きはまた書きます。運営様の判断で削除されたらすいません。

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