ススキが揺れる



途切れた足跡

かすれた声

ススキがなびいて


言葉にならなくて

振り返ることもできなくて

どうしようもなくて

誰もいなくて


ススキが揺れる


つけた足跡

ここまで来たことを誇ってみたところで

埃まみれの部屋

倒れた写真立て

たてかけた言葉なら

はりぼて


その目が腫れぼったいのは

二日酔いのせい


悲しかったワケじゃない


途切れた足跡

かすれた声

ススキがなびいて


目が乾く


一人、二人

いなくなって

気丈に笑う


から笑い

伊邪那岐イザナギ

神無月、通り過ぎて

そして霜月へ

十六夜

誘い、絡む指

月色、霞むくらい


頼りない温度

包み込んで





ススキが揺れる

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