2022年8月31日 21:49
旅立ちへの応援コメント
Twitterで募集したWeb作品の批評にご希望いただき、ありがとうございました。 お応えするのが遅くなってしまって申し訳ありません。 記載した批評や感想はあくまで一読者の視点でのものであり、全ての読者が同じように感じるわけではありません。 参考にしていただけるのなら嬉しく思いますが、作品はあくまで作者様のもの。 内容によっては受け入れられないものや譲れない部分もあるかと思います。 読者の感想はあくまで参考程度にとどめ、惑わされたり流されたりして自分の作品を見失ったりすることのないよう、これからも創作を楽しんでいただければと思います。 作品の印象 ずいぶんと難しいテーマを取り上げた作品だなというのが第一印象。 特に主人公二人がするのが大麻栽培という、どういう切り口であれ絶対に善にはなり得ないために感情移入はし辛いだろうと思う。 良い点 ジューマンドラマであり重いテーマを取り上げながらも文体は軽妙で読みやすく、スルリと頭に入ってくる文章力は見事というしかない。 本来なら文学作品にカテゴリーされるような内容だが文体はライトノベルに近く途中で躓くことなく読み進めることができる。 内容といいテーマといい、正直なところ自分の好みとは離れているのだが、そういった読者さえ最後まで読みたいと思わせるほどの魅力がある作品と言える。 改善した方が良いと感じた点 タイトルの「MaryJane.」調べてみるとマリファナの通称らしいが、このタイトルを見てそれを連想できる人は多くないのではないかと思う。 文学作品としてならありかも知れないが、少なくともWeb小説としてはやや時代遅れの印象を受けた。 次にあらすじ。 まず人物紹介が先に来ている作品というのは少ないだろう。当然その理由もあり、それは目が滑ってしまうから。 読者としてはあらすじで興味を引かれて初めてキャラに目が行く。 なのにいきなりキャラ紹介があって、しかも本当にごく簡単なものであるだけにひどく陳腐で退屈なのではないかという先入観を持たせてしまうと思う。 そして次のあらすじ本文も、物語の導入部分がそのまま書かれているだけであり、先の内容を期待させるものになっていないように思える。 気になった所 健人が盲目であるという設定が生かされていないように感じた。 目が不自由な分、例えば足音で人の判別ができたり気配に敏感であったり、声色から嘘が見抜けたりといった、健常者では難しいことが盲目であるがためにできることという部分があればもっとキャラクターが引き立つのではないかと思う。 麻衣が拉致されて以降の展開が唐突で、それまで強さを感じさせる描写がなかった藤田がいきなり無双したり、一発殴られただけで桜庭が自分語りをしたりするという唐突さに違和感がある。 それと、恨む理由を語った桜庭を藤田があっさりと許し、健人もまた母親を殺した男を簡単に許しているように受け取れる描写が奇妙に感じた。 総評 作品としてはしっかりと仕上がっているし、最後まで読ませる文章力があるだけに惜しい作品だと感じる。 特に後半の裏切りの理由とそれを許す描写、健人が母親の仇を許す部分でも、もっと内心の葛藤や、怒り、悲しみ、罪悪感、優越感、猜疑心など複雑でドロドロとした心理が描かれていれば、結果として許すという結論に至っても納得できるだろうと思う。 鈴木が桜庭を刺した理由も曖昧なままでモヤモヤが残る結末になっている。 それと、これは作品の根幹にかかる部分なのだが、作品のキーアイテムとして大麻が選ばれているが、これは非常に扱いが難しい代物だと考えている。 作中では大麻が肯定的に扱われているが、大麻は非常にデリケートな問題を孕んでいる。 薬効を評価する専門家も居る一方で、多くの専門家は害の方に警鐘を鳴らしているのが現状。 個人的な是非は別として、大麻というアイテムを使うのであればむしろ徹底的に掘り下げるくらいでないと小説としてはリスクのほうが大きいと思う。 最後に健人がオーストラリアに行くシーンで「大麻も吸えるしね」と言う部分があるが、オーストラリアも大麻の所持は基本的に違法なので場合によっては所持や使用で捕まります。こういった部分も読者からの批判の対象となりかねないと思います。 以上です。 稚拙な批評で申し訳ありませんが、今後の作品作りの糧となったら嬉しく思います。 もし内容が納得できない、気に入らないと感じられたら削除していただければと思います。
作者からの返信
三度も読み返してしまいました。 とても参考になりました。 ありがとうございます。
旅立ちへの応援コメント
Twitterで募集したWeb作品の批評にご希望いただき、ありがとうございました。
お応えするのが遅くなってしまって申し訳ありません。
記載した批評や感想はあくまで一読者の視点でのものであり、全ての読者が同じように感じるわけではありません。
参考にしていただけるのなら嬉しく思いますが、作品はあくまで作者様のもの。
内容によっては受け入れられないものや譲れない部分もあるかと思います。
読者の感想はあくまで参考程度にとどめ、惑わされたり流されたりして自分の作品を見失ったりすることのないよう、これからも創作を楽しんでいただければと思います。
作品の印象
ずいぶんと難しいテーマを取り上げた作品だなというのが第一印象。
特に主人公二人がするのが大麻栽培という、どういう切り口であれ絶対に善にはなり得ないために感情移入はし辛いだろうと思う。
良い点
ジューマンドラマであり重いテーマを取り上げながらも文体は軽妙で読みやすく、スルリと頭に入ってくる文章力は見事というしかない。
本来なら文学作品にカテゴリーされるような内容だが文体はライトノベルに近く途中で躓くことなく読み進めることができる。
内容といいテーマといい、正直なところ自分の好みとは離れているのだが、そういった読者さえ最後まで読みたいと思わせるほどの魅力がある作品と言える。
改善した方が良いと感じた点
タイトルの「MaryJane.」調べてみるとマリファナの通称らしいが、このタイトルを見てそれを連想できる人は多くないのではないかと思う。
文学作品としてならありかも知れないが、少なくともWeb小説としてはやや時代遅れの印象を受けた。
次にあらすじ。
まず人物紹介が先に来ている作品というのは少ないだろう。当然その理由もあり、それは目が滑ってしまうから。
読者としてはあらすじで興味を引かれて初めてキャラに目が行く。
なのにいきなりキャラ紹介があって、しかも本当にごく簡単なものであるだけにひどく陳腐で退屈なのではないかという先入観を持たせてしまうと思う。
そして次のあらすじ本文も、物語の導入部分がそのまま書かれているだけであり、先の内容を期待させるものになっていないように思える。
気になった所
健人が盲目であるという設定が生かされていないように感じた。
目が不自由な分、例えば足音で人の判別ができたり気配に敏感であったり、声色から嘘が見抜けたりといった、健常者では難しいことが盲目であるがためにできることという部分があればもっとキャラクターが引き立つのではないかと思う。
麻衣が拉致されて以降の展開が唐突で、それまで強さを感じさせる描写がなかった藤田がいきなり無双したり、一発殴られただけで桜庭が自分語りをしたりするという唐突さに違和感がある。
それと、恨む理由を語った桜庭を藤田があっさりと許し、健人もまた母親を殺した男を簡単に許しているように受け取れる描写が奇妙に感じた。
総評
作品としてはしっかりと仕上がっているし、最後まで読ませる文章力があるだけに惜しい作品だと感じる。
特に後半の裏切りの理由とそれを許す描写、健人が母親の仇を許す部分でも、もっと内心の葛藤や、怒り、悲しみ、罪悪感、優越感、猜疑心など複雑でドロドロとした心理が描かれていれば、結果として許すという結論に至っても納得できるだろうと思う。
鈴木が桜庭を刺した理由も曖昧なままでモヤモヤが残る結末になっている。
それと、これは作品の根幹にかかる部分なのだが、作品のキーアイテムとして大麻が選ばれているが、これは非常に扱いが難しい代物だと考えている。
作中では大麻が肯定的に扱われているが、大麻は非常にデリケートな問題を孕んでいる。
薬効を評価する専門家も居る一方で、多くの専門家は害の方に警鐘を鳴らしているのが現状。
個人的な是非は別として、大麻というアイテムを使うのであればむしろ徹底的に掘り下げるくらいでないと小説としてはリスクのほうが大きいと思う。
最後に健人がオーストラリアに行くシーンで「大麻も吸えるしね」と言う部分があるが、オーストラリアも大麻の所持は基本的に違法なので場合によっては所持や使用で捕まります。こういった部分も読者からの批判の対象となりかねないと思います。
以上です。
稚拙な批評で申し訳ありませんが、今後の作品作りの糧となったら嬉しく思います。
もし内容が納得できない、気に入らないと感じられたら削除していただければと思います。
作者からの返信
三度も読み返してしまいました。
とても参考になりました。
ありがとうございます。