第15話




「 ところでさぁ」



「…」



山代くんがまた私のことをチェックし始めた。



「その靴にソックス、どうしちゃったわけ?」



ん?…自分の足下をよく見たら…


ドロ水が染み込んで真っ黒になっている。


時間もあまりなかったし、夢中だったから気がつかなかったけれど…


…さっきの河原で汚れてしまったんだ…


ワンちゃんと遊んでいたから…なんて説明するのも恥ずかしいし…



「もしかして、セイカと同じ、くるま?」



くるま? 違う…首を振る。



…ケン…カ?…



不思議そうな表情で私を見る山代くん


?…ん…私へんなことを言ったかな…



「 スゲー!ななせってケンカするんだ! 」



うわッ!…お、大きな声!…



さっきの話につられて、つい口走ってしまったのだ。



…じつは…



本当のことを言おうとした時だった、山代くんはニコニコしながら私に向かって、また急接近してくる・・お鼻とお鼻が・くっつくくらい・



「 ちびちゃんて… メガネ外すと… 」



も、もう…げ、限界…足がガクガクしてきた…



「 かわいい!!」



「!?……」



え?…初めて…



男子から、かわいいって、言われた



どういう意味で?



私が小さいから?

ちいさな子供にかわいいねって、言うみたいに?


それとも…


そんなことあるわけないか、たぶん、小さな子供みたいにってことね、きっと



山代くんはその後も、機能停止状態の私から、離れようとしなかった。



そうしているうちに、学校のひとつ前の駅で私たちの前のドアが開く。

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