エリア6/ 原初の地ダム・ア・ブイ
ついに最終にして原初の地、ダム・ア・ブイに
大地には大穴が開き、そこから凄まじい
これはまさか、別の世界へ通じている?
つまり俺は、ここから来たというのか!
――
俺は穴の前へ進み出る。俺も魔王も、ここから生まれた!
これがある限り、世界に平和は訪れないだろう!
「勇者さま……! まさか飛び込むつもりでは!」
振り返ると、そこにはエルフ姫が居た!
それだけじゃない。ドワーフ娘に巫女ちゃんも居るではないか!
「だめだよお兄ちゃん……! 死んじゃうよぉ!」
「勇者様! そんなことをすればあなたが……!」
すまない女たちよ。俺は勇者! 世界の平和こそが使命なのだ!
勇者の覚悟が伝わったのか、彼女らは一歩下がって
俺はニヤリと口元を上げ、おもむろに鎧を脱ぎはじめる!
「えっ、ちょっと勇者さま……! 何を!」
「まさか『最後に四人で』などと
「やだよー! そういうの、あたし絶対いや!」
抗議の声を上げるドワーフ娘に、俺は〝レストメイル〟を渡す。
エルフ姫には〝ユグドシルト〟を。
そして、巫女ちゃんには俺の相棒〝バルドリオン〟を託した!
「俺が世界を平和にする! その後は、みんなで平和を守ってくれよな!」
「そんな……! 丸腰で飛び込むなんて無茶です!」
「大丈夫だ。俺には勇者の力、それにおまえたちとの絆がある!――だろ?」
俺がそう言うと、三人は自らの腹を優しく
「さらばだ! 未来は託したぜ!」
彼女らに別れを告げ、俺は再び大穴へ向かう。
不死身の肉体はもう無いが、俺には誇り高き勇者の力が残っている!
俺は両手を広げて高らかに叫び、闇の大穴へと飛び込んだ!
「さあ平和の時間だ! はじめよう!」
凄まじい大きさの悪意や憎悪、闇そのものが突き刺さる!
だが俺は負けん! これ以上、世界にこんなものを撒き散らすわけにはいかん!
じっと耐えて時を待つ。
もう痛みも無いが、体の感覚も無い!
そして一瞬、攻撃が
――よし! 今だ! すべての力を解放する!
「
俺の体から光が溢れる! いや、俺そのものが光と化した!
さあ! この暗闇を照らし上げ、邪悪を制圧してやろう!
そして大穴には光が降り注ぎ、新たな大地が生まれ始めた。
俺は光となって世界を包み、やがて消えるだろう。
最後に見たのは蘇った人々と、平和になった村・町・世界!
そして空を見上げている、三人の女たちだった。
これで勇者の旅は終わりだ! みんな、また会おう!
【世界平和・完了!】
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