チャプター3「死ねなかった自分」

 僕は前のチャプターでも言った通り、本気で自殺を企てたことがある。もっとも実際に行うことはなかったが。僕が選んだのは過量服薬。いわゆるオーバードーズ、ODというやつだ。考えに考えまくったうえでの解答だった。首吊りはなんか苦しそうだし、何よりも家や寮を事故物件にしたくないという理由で却下。次に飛び込み。日本では多いと聞くが何より故郷には電車は通っていないし、高専のある街も相当歩かなければ駅はない。しかも電車を遅延させるという特大迷惑付きだ。これも却下。次に飛び降り。これなら一息に飛び降りるだけで楽になれる…とも考えたがそもそも高い建物なんてないし飛び降りる勇気が湧くわけでもない。そう。僕は臆病者だ。飛び降りも飛び込みと同じく後処理が大変だと聞く。未遂で終わった時のことも考えると普通に地獄だし考えたくない。次に入水。これはもはや論外。僕は25mはおろか10mも泳げない極度のカナヅチである。(笑)そんな奴が溺れ死ぬなんて到底苦しすぎて無理だと考えた。「故郷も、高専がある街も海はほとんど目の前に等しいのになぁ…」と意気地なしな自分を嘲笑している。次に凍死。これも視野に無かったわけではない。真冬の夜は氷点下15℃なんてざらだ。浴びるだけ酒を飲んで暖か~くなりながら死ぬのもありだとは思った。でも時期を選ばなければならないのが普通にめんどくさい。冬限定て。なんなん?(笑)そんなこんなで凍死も却下。

 結局結論づいたのが過量服薬だった。薬300錠飲むとか正直余裕だし。経験者から「大変だ」という話は聞いていたがまあ簡単に言えば甘く見ている。そんな感じ。薬もいろいろと候補はある。レスタミンコーワ錠、レクサプロ、ベンゾジアゼピン、デキストロメトルファン、アリピプラゾール、炭酸リチウム…挙げだすとキリがないな。そんなこんなでまだ薬の種類こそ決めてはいないもののやろうと思えばできる。

 長ったらしい自殺念慮丸出しの前置きはさておき、このチャプターの題名死ねなかった自分について語っていこうと思う。なぜ僕は死ねなかったのか。死に損なったのか。大きく分けて二つある。

 一つ目。そもそも勇気がなかった。これを読んでいる人の中にもきっといるだろう。「死にたい。でも死ぬのは怖い」なんて思っている人が。僕も絶賛その中の一人だ。純粋に死ぬのが怖かった。死んだあとが不安だった。だれか悲しんでくれるのだろうか。いったいどうなるのか。そんな気持ちや不安が渦巻いて実行できなかった。

 二つ目。とある人が足枷(よく言えば抑止力)になっていたからだ。僕には今まで本当の自分を見てくれる恋人や友達がいなかった。LGBTQ+の中のGである僕にとっちゃ本当に心の底から等身大の自分を見てくれる人なんて今までいなかった。そこで出会ったのが彼だ。彼は今僕の彼氏である。名前は…本人の許可を取っていないのでA君(仮称)とでもしておこう。とにかく僕はA君に救われた。急性期だった僕に精神科という居場所を与え、僕を等身大で見てくれる数少ない大切な人だ。今までもたくさん付き合ってはきたがどいつもこいつも脳みそ金玉野郎ばかりだった。ひどいときには実際に会ってレイプされかけたくらいには。まあ中二の冬の話はさておき。僕は彼に助けられ、同時に苦しめられている…のかもしれない。自分でもわからないから驚きだ。すまんA君。

 もっとこまごました理由はあるがここでは端折ることにする。普通に文字数多いと読むのだるいでしょ?そんなこんなで今日も生きてます。(2022年6月24日時点)この先どうなるかはわからないけど。世界の波においてかれないように頑張りたいと思います。みんなも負けんなよ。勝て。絶対に。いつかを信じてさ。僕は信じないけど(笑)

 てな感じで死ねなかったのはこのせい。またいつかどこかで貴方と会えるのを楽しみにしています!有難う!

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