If

もし

暗い夜道を一人で歩くような孤独さが


罵声を受けた時に感じる

こころを炙られたような痛みが


取り返しをつかないことをした時に心の底から思った

心臓が空っぽになったような感触が


「生きたい」と願っている人たちが

心の底から望んでいる物で、

これが「生きる」ことの証明になるのなら


もし

あの日「生きたい」と言っていた人に

僕の寿命だったり、身体だったり

僕の全てを明け渡せたのなら



僕/その人はどれだけ楽になれるのだろう?



眩いと思っていた極彩色が

既に濁り切った白と黒に変わっていた

その日から、

僕は僕がいなくなることを望むようになった


死んだら無の世界とか、地獄に行くとか

何より誰かが悲しむとかなんて、


どうでもいい



何も感じなくていい

何も思わなくていい


自分の世界を自ら消しただけで

自分の未来を自ら閉ざしただけで


この苦しみから逃げられるのなら

僕は、どうなったっていい


──そんな夢物語を願いつつ、


この命を活かすための一歩を、

いつまでも踏み出せないでいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る