【番外編】レティの鉄道講座 そのご!



「みなさん、こんにちは!!またまたやってまいりました、『レティの鉄道講座』の第5回です!!」


「こんにちは、アシスタントのKです」





「いや〜、本編では最近鉄道の話が全然出てこないね〜」


「何か冒険しに行っちゃったもんね……」


「いや、ほら……異世界転生したからには一度は冒険に出ないとじゃない?」


「まぁ、分からないでもない」


「なもんで、ちょっとここら辺で番外編で鉄道の話に触れておこう……と」


「なるほどね。で、今回のテーマは?」




「今回のテーマは……『新幹線』だよ!!」


「あ〜、先日新しい新幹線が開業したばかりだから、タイムリーなテーマだね」


「そう。西九州新幹線。やっぱりこんな話を書いている以上は触れておかないと……って作者の人がね」


「作者はまだ乗ってないよね」


「住んでるところが遠いから中々ね……前身の特急『かもめ』には乗ったことあるみたいだけど」


「ふ〜ん……でもさ、まだ未完成なんだよね」


「うん、開業したのは長崎〜武雄温泉間だけで、まだ博多(西九州新幹線としては新鳥栖)までは繋がってないね。ニュースとかで皆さんご存知だと思うけど、残りの区間については全然調整が進まないから……全線開業するのはいつになることやら?」


「リニアもそうだけど、大変だよね……」


「個人的にはね、今回の開業区間は暫定で在来線と同じ狭軌にして乗換なしの直通(所謂スーパー特急方式)にしたほうが良かったんじゃないかな……なんて思ったけど。狭軌でも高規格新線なら160km/h以上で走行できるから今と遜色ないくらいには時間短縮も出来ただろうし。青函トンネルみたいに新幹線規格で作ってあれば、あとから改軌(三線軌化)できるしね。まあ今更言ってもしょうがないけど」


「多分、そうすると『フル規格じゃなくても十分』……てなりかねないと思ったんじゃない?」


「そうかもね。そんなこんなで紆余曲折を経て開業してもまだまだ課題が山積みなわけだけど、鉄道ファンとしては純粋に新規路線への興味は尽きないところだよ。……殆どトンネルみたいだから車窓はあまり楽しめなさそうだけど」


「レティ的にはそこが重要なんだよね」








「と、前置きはこれくらいにして。先ずは今回のテーマである『新幹線』とは何か?」


「『新』幹線だから、新しい幹線って事でしょ」


「そうだね、歴史的には東海道本線の線路容量が逼迫したことに起因して計画・建設された新しい幹線……てことだね。実は言葉自体はかなり昔からあったらしいね。弾丸列車とも呼ばれた高速鉄道計画が戦前から検討されてたんだ」


「そんなに昔から……と言っても東海道新幹線なんかはもう出来てから50年以上経ってるのか」


「そう、もう結構な歴史があるんだよね。で、『新幹線』というのは、法律『全国新幹線鉄道整備法』で『主たる区間を列車が200km/h以上の高速度で走行できる幹線鉄道』とされてる。世界的には高速鉄道の定義は概ね、『200km/hで走行する鉄道』のことを言うのだけど、新幹線は世界で最初の高速鉄道なんだ」


「先人たちの努力の賜物なんだよね」


「本当にね。東海道新幹線の建設にまつわる色々な話を聞くと物凄く大変だったと思うよ。世界的に鉄道は斜陽を迎えると考えられていて、最初は建設に懐疑的な人が多かったらしいけど……結果として大成功だったのは知っての通り。鉄道の存在意義を見直すきっかけにもなった」


「そんな成功事例が出来たから、他にも作ろう!ってなったんだね」


「そう言うことだね。次に東海道新幹線の延長のような形で山陽新幹線が作られた。そのあとは先の法律『全国新幹線鉄道整備法』によって『建設を開始すべき』路線に関する基本計画が決定。それに基づいて建設されたのが東北新幹線(盛岡市まで)と上越新幹線。更に基本計画で決定した路線のうち、同法によって整備計画が決定されたのが、東北新幹線(盛岡市〜青森市)、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線、西九州新幹線で、これらは所謂『整備新幹線』と呼ばれてる。そして、2011年に追加で中央新幹線(リニア中央新幹線)もこの法律で整備計画が決定している(『整備新幹線』には該当しない)」


「え〜と……既に全通したのは東北新幹線と九州新幹線かな?」


「その通り。北海道新幹線は新青森〜新函館北斗までが開業済み、その先の札幌までを現在建設中。北陸新幹線は高崎〜金沢までが開業済みで、金沢〜敦賀が建設中、その先は未着工。西九州新幹線は最初に話した通り。中央新幹線は品川〜名古屋を建設中だけど……まぁ色々と大変な感じ」


「う〜ん……全線開業はまだまだ先だね」


「社会情勢にも大きく影響されるからねぇ〜。本当は先に挙げた整備新幹線以外にも、基本計画にはもっとたくさんの路線が定義されてるんだけど、夢のまた夢……高度経済成長期の、まだ日本がイケイケな時に決めたものだから、もう時代が違うとしか言えない」


「またそんな時代がくれば良いんだけどね……」



「ともかく、日本の新幹線の建設の経緯と現状はそんな感じ。次に仕様的な話をしてみようか。先ず、新幹線の最高速度から」


「私は『のぞみ』に乗ったことがあるけど、たしか……270km/hだっけ?」


「今は285km/hだよ。それが東海道新幹線の最高速度だね。新幹線の中では一番古い路線だから、線形の関係とかで中々最高速度が引き上げられない路線なんだけど、それでも様々な技術の向上によって開業時の200km/hから相当速くなったんだね」


「85km/hも速くなってるなんて……凄い!」


「他の新幹線はあとから出来ただけあって高速化のハードルは東海道よりも低いみたい。山陽新幹線は300km/h、東北新幹線は宇都宮〜盛岡間で日本最速の320km/h。上越新幹線は240km/h……これは最近まで使用していた車両(E4系)の最高速度に抑えられてるからで、かつては限定的に275km/hで運行して日本最速だったこともある。そして、『整備新幹線』は全て最高速度260km/h。これは設計上の最高速度が法律で決まってるから」


「法律で最高速度決めちゃってるんだ……せっかく技術的には300km/hとかで走れるのに勿体ないね。というか、古い路線のほうがスピード出してるって言うのが本末転倒のような……」


「なんせ法が制定されたのが古いからね。そのころはまだ200km/hとかだから、これでも将来の高速化を見据えてはいたんだよ。とはいえ現状は既に予想を超えて技術は進歩してるから、最高速度引き上げの議論が必要なんだ。実際、北海道新幹線の札幌延伸に合わせて盛岡以北も最高速度320km/hまで引き上げるための調整をしてるらしいし、更に将来的に営業速度360km/hを目指すなんて話も出てる」


「360km/h……とんでもないスピードだね……」


「今は専用の試験車両でその可能性を探ってる段階だね。さて、速度の話はこれくらいで、次は線路規格の話を」


「在来線より軌間が広いのは知ってるよ!」


「そう、新幹線は標準軌を採用してるので、JR在来線の狭軌より広いんだ。標準軌はその名の通り世界的に最も普及している標準的な規格なんだ。日本では新幹線と一部のJR在来線、一部の私鉄で見られるよ」


「一部のJR在来線?そんなのあったっけ?」


「山形新幹線と秋田新幹線だよ(※)。両者共に東北新幹線から乗り入れる『新幹線』と営業上は案内されるけど、直通先の区間は正式には在来線の扱いなんだよ。新幹線電車以外にも標準軌対応の普通列車が走ってるしね」


 ※その他、博多〜博多南、越後湯沢〜ガーラ湯沢なども設備は新幹線規格だが在来線扱い


「へえ〜、そうなんだ……」


「新幹線整備計画でも選択肢の一つとなる、いわゆる『ミニ新幹線』ってやつだね。在来線を狭軌から標準軌に改軌させて新在直通運転するんだ。ただ、在来線区間は最高速度が200km/hには満たないから、先に言った通り『新幹線』ではない。ほかの方式としては、通常の新幹線は『フル規格』、狭軌の高規格新線による『スーパー特急』、車両の軌間を変更できる『フリーゲージトレイン(FGT)』なんてのがある。FGTは開発が頓挫しちゃったけど……」


「そんなに選択肢があるんだ……でも、実際に採用されたのは『ミニ新幹線』か『フル規格』だけだよね」


「だね。北陸新幹線なんかは最初は『スーパー特急』で計画されたけど、結局は『フル規格』になってる。建設費は莫大だけど、その分効果も多大だから、予算さえ許せば『フル規格』が一番良いのは確かだろうけど……」


「その予算が一番の問題なんでしょうね」


「まあね。費用負担のスキームで揉めなかったことは無いんじゃないかな……。新幹線じゃないけど、私は国にお願いした」


「イチ商会だけで建設するのは無理があるから、賢明な判断だと思うよ」







「さて、今回はこれくらいにしておきましょうか。流れで海外の高速鉄道の話なんかもしたかったけど、際限無くなりそう。ということで、また次回のお楽しみ〜」


「ありがとうございました!」


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